親の離婚のため離れて暮らすようになって30年が過ぎ、テレビ番組の制作会社で働く百花のもとへ、妹・千愛からの手紙が届く。
それから二人のメールのやり取りが始まるが、千愛はすぐに重大な事実を知らせることに──。
会えなかった時間を埋めるように、互いの辿った道を綴っていく二人。共有できない母との思い出、途切れた時間は再びつながるのか。 ◎解説=上田岳弘
私たちは、ふと空を見上げれば
そこに在る月にでも話しかけるようなつもりで、
まるで鈍化された祈りのように、言葉を綴るのかもしれない。
あるいは最後にはそんな境地に戻っていくために、
人生はあるのかもしれない。
本書を読んで、そんなことを思った。
(解説より)上田岳弘(小説家)