潮出版社
 
 
潮2023年3月号
月刊「潮」 潮2023年3月号
発刊日
2023年2月3日
価格
660 (本体 600円)

目次

【特別企画】「困難な時代」の突破口

国家間の対立を超克する文化の力。青木 保

暮らしを支える「物流」を持続可能にする方途。首藤若菜

【連載対談】ニッポンの問題点(63)

銀行にも黒船襲来! 生き残れるか、淘汰されるのか? 山本康正×田原総一朗

 

【特集】地方政治の最前線

【ルポ】誰もが安心して暮らせる街に――福岡の挑戦。中野千尋

鶴見川から始まった神奈川公明党の防災対策。鈴木秀志

 

【特集】人材と教育の天地 福島県

【対談】「美しい福島」の風景と温かい人柄を後世に伝えたい。安孫子 亘×大林素子

新撰組と白虎隊――会津から学ぶ歴史の教訓。今村翔吾

心に響く「合唱」の真髄は、音楽への誠実さ。菅野正美

脈々とつながる「駅伝王国」のタスキ。山崎理史

故郷の〝匂い〟と〝音〟と〝味〟にいつもほっとする。石田重廣

 

連載ドキュメンタリー企画
民衆こそ王者 ――池田大作とその時代
希望をつなぐ人篇(21)

 

【ルポ】団結と攻めの走りで四年連続シード権を獲得した創大駅伝部

――箱根駅伝ドキュメント。

酒井政人

 

【対談】高島礼子の歴史と美を訪ねて(30)

小説を書きながら作中の「浅子」に何度も励まされました。古川智映子×高島礼子

 

【新連載】Z世代のリアル(3)

タイパ時代と「民主主義」。室橋祐貴

 

【新連載小説】ウイルス(1)真山 仁

 

【ルポ】子供も大人も育てる少年野球チーム。(上) 荒川 龍

 

【ルポ】欠損した身体を補う「エピテーゼ」が、心も埋め合わせる。黒島暁生

 

【ルポ】年齢も障害も超えて――富山型デイサービスという選択。石井光太


【シリーズ】 シニアのための「生き生き」講座

【連載】鎌田實の「希望・日本」(34)

 ネットの世界でも〝ピンピン〟活躍する元気高齢者たち。鎌田 實

 

【好評連載】

宿帳拝見――「あの人」が愛した湯(14)

 上皇さま・上皇后さまと「ホテル観洋」「吉川屋」。山崎まゆみ

 

世界への扉(76)

 経済制裁下のイランの女性たち。三浦瑠麗

 

トクサンの「人間野球」日誌(19)

 侍ジャパン世界一への鍵。トクサン

 

池田思想の源流――『若き日の読書』を読む(15)

 信ずる正義に生ききる。佐藤 優

 

真説!始皇帝(8)

 趙高の謀略で滅亡へと向かう秦。塚本靑史

 

【連載小説】

梧桐に眠る(14) 澤田瞳子

 

吉野朝残党伝(26) 天野純希

 

第41回 読者手記発表!

テーマ「千里の道も一歩から」

読者手記 大募集!

(第44回 テーマ 時代遅れと言われても)

 

 

 USHIO情報BOX
潮マネー講座(相続登記)/シニア必見! 口腔ケアで健康長寿(唾液腺マッサージをしよう!)/ecology&economy家計にやさしいエコライフ(「短く」と「使わない」で電気代を減らす)/知って得する 熟年世代の生活の知恵(自宅の火災を防ぐ)/脳トレでリフレッシュ(入浴トリビアクイズ/クロスワードパズル/ナンバープレイス)/家電におまかせ!手軽にクッキング/おうち時間に簡単体操(背中ストレッチで若々しく)/楽して楽しむガーデニング(芽出し球根の楽しみ方)/サトミツの お掃除Q&A/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/ちょっぴり気になるGoods&Foods(繰り返し使えるエコなカイロ)

ずいひつ「波音」
こころを聴く(87)天空というノート。中西 進/子どもの成長を見守って。治部れんげ/敢えて海外で日本食。須田鷹雄/日々の刺激に宇宙の数式を!高水裕一/沖縄独自のバリアフリー。三代達也
PEOPLE2023/世界のネコたち(高知県)/”ティー・エイジ流”カフェ散歩(花街の人々を癒やしたアートな喫茶空間)/日本紀行(人・自然・心輝く福島の〝祭り〟)

潮ライブラリー/新聞クリッパー/今月のちょっといい話/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて

読みどころ

【特別企画】「困難な時代」の突破口

国家間の対立を超克する文化の力。

青木 (文化人類学者・政策研究大学院大学政策研究院シニアフェロー)

ほか2

 元文化庁長官で文化人類学者の青木保氏は、泥沼化するウクライナ紛争について、国家レベルで愚かな幼児退行が進んでいることに深い憂慮を示します。その一方でスマホやネットを通じて、市民の間では、歴史上もっとも国境を越えた人々のコミュニケーションが発達しているとも指摘します。

 それはどういうことなのでしょう。例えば日本の漫画やアニメ、文学や食は、いまや全世界で大きく共有されています。またスポーツでいえば、先のサッカーワールドカップでのアメリカ対イラン戦が象徴的でした。政治的に対立する両国が、見事なフェアプレーで観客を魅了したのです。

 さらにソ連時代の末期、アメリカが派遣したジャズミュージシャンたちは、モスクワでも大熱狂で迎えられたと青木氏は続けます。戦争の悲劇が続く今だからこそ、対立構造を乗り越える力をもつ「文化」を再確認する必要に迫られています。

 

 

【特集】地方政治の最前線

〈ルポ〉誰もが安心して暮らせる街に──福岡の挑戦。中野千尋(フリーライター)

鶴見川から始まった神奈川公明党の防災対策。鈴木秀志(神奈川県議会議員)

 大都市・博多の街が水没した1999年と2003年の御笠川の氾濫の模様は、日本中に大きな衝撃をもたらしました。未曽有の事態を受けて、公明党の福岡県議団と市議団が国と連携しながら、川の浚渫(しゅんせつ)工事や調整池の整備、さらに地下の貯留管設置など、たび重なる対策に取り組んできた経緯を取材。「命と暮らしを守る」ために働く地方政治家たちの真骨頂がここにありました。

 もう一つの記事も、公明党の神奈川県議会議員が取り組んだ防災対策に焦点を当てます。神奈川県を通る鶴見川は、今では穏やかな川として市民に親しまれていますが、かつてはすぐに氾濫する「暴れ川」だったそうです。そこで国と地方が協力しながら治水対策を施すとともに、地震などの大規模自然災害に対応するため「神奈川消防庁」創設へ尽力した経緯も語られます。地域のために何を残せるか。統一地方選挙を前に、政治の使命と責任を考えるヒントが散りばめられています。

 

 

【特集】人材と教育の天地 福島県

〈対談〉「美しい福島」の風景と温かい人柄を後世に伝えたい。

安孫子 (映画監督)×大林素子(スポーツキャスター、タレント)

新撰組と白虎隊──会津から学ぶ歴史の教訓。今村翔吾(歴史小説・時代小説家)

心に響く「合唱」の真髄は、音楽への誠実さ。菅野正美(合唱指揮者・福島県合唱連盟理事長)

脈々とつながる「駅伝王国」のタスキ。山崎理史(福島民報社編集局報道部副部長)

故郷の“匂い”と“音”と“味”にいつもほっとする。 石田重廣(夢グループ代表取締役社長)

 福島県特集のトップバッターは、映画監督の安孫子亘氏と、バレーボール元日本代表で福島しゃくなげ大使も務める大林素子さんの対談です。安孫子監督は、震災や原発事故の映像は数多く報じられているからこそ、あえて「美しい福島」を伝え続けていきたいと語ります。また東京と会津の二拠点生活を送る大林さんは、福島の人たちの温かさについて熱弁。読めば思わず福島に旅したくなること、うけ合いです。

 二つ目の記事は、歴史小説作家で直木賞を受賞した今村翔吾氏が、明治維新によって苦杯をなめた会津の悲劇を独自の視点で解説するとともに、なぜ私たちはこれほどまでに新撰組と白虎隊に惹かれるのかを分析した、歴史ファン必読の一本となっています。

 その他、合唱コンクールで日本一を独占する「合唱大国」福島県の秘密を、自らけん引してきた菅野正美氏に伺いました。さらに箱根駅伝で三冠を果たした駒澤大学の大八木総監督や「山の神」と呼ばれた今井政人さん・柏原竜二さんなどを輩出する駅伝王国の理由を福島民報の記者が解説。テレビCMで話題の夢グループ社長・石田重廣さんへのインタビューなど、「福島愛」に詰まった企画が目白押しです。

 

 

【シリーズ】シニアのための「生き生き」講座

ネットの世界でも“ピンピン”活躍する元気高齢者たち。 鎌田 (医師・作家)

 好評連載「鎌田實の『希望・日本』」では、89歳にしてツイッターのフォロワー数が10万人を超える溝井喜久子さんと、チャンネル登録者数が50万人を超えるユーチューバーの川原恵美子さん(77)のお二人にインタビュー。SNSとは縁遠いのでは?と思われがちな世代ですが、ネットの海を悠々と泳ぐお二人に共通するのは、年齢に対するこだわりのなさ。溝井さんは同世代の年配者に対し、「時代の変化についていこうとせず、古めかしい因習や考え方に拘って我を通しつづける」と、歯に衣着せぬ苦言を呈します。一方の川原さんは、「私の人生はいつもなりゆき」と、これまた含蓄に富んだお言葉。鎌田先生も思わず唸るお二人の人生哲学は、読む者に一陣のさわやかな風と、勇気をもたらしてくれるでしょう。

 

 

連載ドキュメンタリー企画(142

「民衆こそ王者 池田大作とその時代」希望をつなぐ人篇(21

1953年(昭和28年)から2年半にわたり、

戸田城聖は東京大学の学生らに法華経を講義した。

池田大作は小説『人間革命』に、最後の講義での戸田の言葉を書き記している。

「もし、これから先、わからないことがあったら、この伸一(山本伸一)に聞きなさい」

講義に参加したある青年は、後に初代の少年部長となる。

池田はこの青年に、子どもたちの心をキャンバスに例えて言葉を贈り、

後継の育成を託すのだった。

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