潮出版社
 
 
潮2022年8月号
月刊「潮」 潮2022年8月号
発刊日
2022年7月5日
価格
660 (本体 600円)

目次

【特別企画】戦争の出口はある

「国民安全保障国家」を提唱する――ウクライナ戦争に何を学ぶか。船橋洋一

ロシア国民はなぜプーチンを支持するのか。服部倫卓

ロシアの狙いはウクライナの「内陸国家化」だ。伊勢﨑賢治

 

【特集】危機の時代を越えて

広島から世界へ、今こそ被爆の惨状を伝えたい。滝川卓男

それでも日本にはアジアで果たすべき役割がある。宮城大蔵

米国銃乱射事件――なぜ銃規制は進まないのか。矢部 武

 

【特集】高齢化社会を生きる

がんで死ぬということ。――痛み治療の現在地 奥野修司

【ルポ】「認知症」という贈り物――監督として娘として見つめた二〇年間。高見真理子

【連載】鎌田實の「希望・日本」(27)

「死」は生きることに組み込まれている。鎌田 實

 

 

連載ドキュメンタリー企画

民衆こそ王者 ――池田大作とその時代

<希望をつなぐ人>篇(15)

 

 

【インタビュー】萩原聖人

逆境に向き合ったおかげで、多少のことでは心が折れなくなりました。

 

【クローズアップ】小池真理子

人生とは、喪失と再生の連続――夫・藤田宜永の死と向き合う。

 

【特別寄稿】井上尚弥vsドネア観戦記

敗者が強ければこそ、勝者に射す光も大きくなる。天野純希

 

【シリーズ】 シニアのための「生き生き」講座

その「消えない痛み」、ストレスが原因かも。牛田享宏

 

【好評連載】

【対談】ニッポンの問題点(56)

 〝おせっかい〟こそが社会的孤立を防ぐ処方箋。 西 智弘×田原総一朗

 

【不定期連載】日本の島を旅する(11)周防大島

瀬戸内のハワイ――移民がつないだ見えない絆。山口由美

 

【新連載】真説!始皇帝①

始皇帝誕生のきっかけとなった春秋戦国時代。塚本靑史

 

【対談】高島礼子の歴史と美を訪ねて(23)

「人の心」こそ城を守る最強の楯。今村翔吾×高島礼子

 

宿帳拝見――「あの人」が愛した湯(8)

 山下清と上牧温泉「辰巳館」。山崎まゆみ

 

池田思想の源流――『若き日の読書』を読む(9)

 『隊長ブーリバ』の戦争観。佐藤 優

 

トクサンの「人間野球」日誌(12)

 根尾昂選手のコンバートに思うこと。トクサン

 

世界への扉(70)

円安を止められない日本の構造的問題。三浦瑠麗

 

寄せ場のグルメ(37)最終回

 中山道で食す真夜中の立ち食いそば。中原一歩

 

【連載小説】

蒼天有眼 ―― 雲ぞ見ゆ(36) 山本一力

 

梧桐に眠る(7) 澤田瞳子

 

吉野朝残党伝(19) 天野純希

 

第34回 読者手記発表!

テーマ「艱難、汝を玉にす」

読者手記 大募集!

(第37回 テーマ 管鮑の交わり)

 

USHIO情報BOX

暮らしの相談室【年金編】(障害年金をもらうには…)/ecology&economy新しい生活様式のエコライフ(冷蔵庫の省エネ~庫内の温度を上げない~)/熟年世代の危機管理術(熱中症~夏に起きやすい熟年世代特有の危機~)/SAFETY&SECURITY IT博士と学ぶデジタル社会の歩き方(マイナンバーカードでできること ~健康保険証~)/楽して楽しむガーデニング(植物の香りを楽しむ)/ナンバープレイス/手近な素材で簡単おうちごはん(梅干し)/近ごろカラダが何かヘン!?(物がゆがんで見える)/サトミツの知っててよかった!お掃除豆知識(トイレ掃除用ブラシのケア)/おうち時間に簡単体操(足首・ふくらはぎを柔軟に)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/最近気になるモノ(救命胴衣のように使えるリュックサック)

 

ずいひつ「波音」

こころを聴く(80)与謝野晶子とトルストイ。中西 進/上高地にて。若竹千佐子/真実は多面体。下山 進/役に立たないことをやる贅沢。吉岡 乾/一〇〇円ショップでお宝探し。立野井一恵

PEOPLE2022/世界のネコたち(シドニー)/ティー・エイジ流カフェ散歩(花と緑に包まれてスペインワインと花束カラーの料理を)/トピックス(広島平和記念資料館の「記憶」)/日本紀行(仙台七夕まつり)

潮ライブラリー/新聞クリッパー/今月のちょっといい話/クロスワード・パズル/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて

読みどころ

【特別企画】戦争の出口はあるのか

「国民安全保障国家」を提唱する──ウクライナ戦争に何を学ぶか。

船橋洋一(ジャーナリスト)

ほか2本

 

 今回のウクライナ戦争の原因は、オバマ、トランプ、バイデンの歴代大統領に率いられてきた10数年のうちに、アメリカが自ら「抑止力」を放棄してきた結果だと喝破する船橋洋一氏。喫緊の課題は、もちろんロシア軍をウクライナから撤退させることですが、長期的には今度こそ破綻しない抑止力を再構築する必要があると説きます。

 しかし西側各国の経済制裁も「諸刃の剣」であり、日本のみならず世界各国でエネルギー価格や物価が高騰する中で、どこまで制裁を維持できるかは不透明です。さらにプーチン大統領の核使用発言や、サイバー戦が主要領域になるなど、戦争の形が以前とは大きく変わっていることにも注意が必要です。

 こうした状況下で、日本はどう対処すべきなのでしょうか。日本は平時の時は強いが、緊急時にはもろいと指摘。1973年のオイルショックしかり、最近では福島第一原発事故や新型コロナパンデミックでも、問題点を先送りすることで、いざという時に社会システムが破綻をきたした例は記憶に新しいところでしょう。船橋氏は、有事の際は「強い国家」だけでなく「強い社会」が必要であり、国民は危機を克服するうえでの当事者であるとの認識を持つべきだと言います。そういう意味で、平時から「国の形」を考える意識が、私たち国民にも求められていると言えるでしょう。

 

 

【特集】危機の時代を越えて

広島から世界へ、今こそ被爆の惨状を伝えたい。

滝川卓男(広島平和記念資料館館長)

ほか2本

 

 終戦から77年目の本年、広島平和記念資料館の滝川館長にご登場いただき、2019年にリニューアルオープンした同館が、改めていま何を訴えようとしているのか、詳しくお話を伺いました。

 最も重視したのは、原子爆弾の非人道性と被爆者や遺族の苦しみ悲しみを、資料を通じてより深く正しく理解できるような展示にすることでした。そのうち「伸ちゃんの三輪車」や、動員学徒の学生服、被爆した中学生の弁当箱などは、カラーグラビアでも紹介。被爆の惨状と非人道性が見る者の胸に迫ってきます。

 同館は、被爆体験を次の世代に継承することにも力を入れています。折しもウクライナ戦争で核使用を示唆する発言が繰り返される中、二度と同じ悲劇を繰り返してはならないと静かに語りかける滝川館長のメッセージは、世界に向けてより一層強く発信していかなくてはなりません。明年の5月には、広島でのG7サミット開催が決定しました。私たち日本人が知り、伝えていくべき現実がここにあります。

 

 

【特集】高齢化社会を生きる

〈ルポ〉「認知症」という贈り物──監督として娘として見つめた20年間。

高見真理子(ルポライター)

 

「ぼけますから、よろしくお願いします。」という映画作品をご存知でしょうか。ドキュメンタリー監督の信友直子さんが、認知症になった母親と、妻の介護をする90代の父親の生活を丹念に取り続けた2018年公開の作品です。

 この印象的なタイトルは、母の文子さんの一言。さらに本年3月より続編が公開され、母親の死と、100歳を超えて一人で住む父の現在が描かれています。それを受けて、ルポライターの高見真理子氏が、信友さんと父・良則さんを取材。

 信友さんの話で特に心に残ったのは、文子さんが「なんで私はこうに忘れっぽいんじゃろうか」と嘆くと、良則さんは「忘れたらいけんことは、わしがかわりに覚えとってやるけん。信友家は二人おるんじゃけん、どっちかが覚えとりゃ、それで事は足りる」と答えるシーン。

 母の不安と葛藤、そして父の優しさを知れたことは、認知症が教えてくれた宝物と答える信友さん。

 誰もが直面する「老い」を生きる上でのヒントが満載のルポルタージュです。

 

 

【特別寄稿】

井上尚弥VSドネア観戦記──敗者が強ければこそ、勝者に射す光も大きくなる。

天野純希(作家)

 

 6月7日にさいたまスーパーアリーナで開催された、世界バンタム級三団体王座統一戦。「モンスター」井上尚弥選手が「フィリピンの閃光」ノニト・ドネア選手を、わずか2ラウンド1分24秒でテクニカル・ノックアウト。世界に再び衝撃が走りました。

 この世紀の一戦の模様を、作家で無類のボクシングファンでもある天野純希氏に執筆いただきました。

 天野氏の観戦記を一読すると、どのメディアも井上尚弥選手に光を当てる中、敗者であるドネア選手を中心に描いた点が特徴的でした。それぐらいドネア選手は伝説的なボクサーであり、最強の相手。タイトルにもある通りドネア選手の強さが際立つからこそ、圧倒的な勝利を得た井上選手に射す光は、ますます大きくなるのでしょう。

 あの感動と興奮を、誌上でも再びお楽しみください。

 

 

連載ドキュメンタリー企画(136

「民衆こそ王者 池田大作とその時代」希望をつなぐ人篇(15

 

1956(昭和31)年4月、「大阪の戦い」の起爆剤となる「雨の総会」が開かれた。

風雨のやまない大阪球場に、西日本の各地から老若男女が駆けつけた。

“この日を境に関西は一変した”──後に、そう言われることになる画期的な一日。

二万を超える参加者に、戸田城聖と若き池田大作は生き抜く希望を示していく。

その、一人ひとりの心のドラマを追った

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