潮出版社
 
 
潮2022年7月号
月刊「潮」 潮2022年7月号
発刊日
2022年6月3日
価格
660 (本体 600円)

目次

【特別企画】ロシアの行動原理

「正教大国」というアイデンティティがもたらした国家の迷走。寺島実郎

プーチンの危機感、ゼレンスキーの焦燥――侵略の深層。佐藤 優

それでも国連は、残されている対話のテーブルだ。鈴木一人

 

【特集】日本政治の焦点

【対談】危機の時代における政治の役割。中北浩爾×石井啓一

緊迫の国際情勢と平和安全法制の意義。北側一雄

 

【特集】時代の分岐点に立って

「安全保障というリアル」と「核軍縮という理念」の両立を目指して。西田 充

【連載対談】ニッポンの問題点(55)

 大人には「若者にチャンスを回す」責任がある。 たかまつなな×田原総一朗

【連載】鎌田實の「希望・日本」(26)

 「人口減少」がもたらす未来を回避するために。鎌田 實

 

 

連載ドキュメンタリー企画

民衆こそ王者 ――池田大作とその時代

<希望をつなぐ人>篇(14)

 

 

【クローズアップ】 宮口幸治

「ケーキの切れない非行少年たち」のサインを見逃さない。

 

【インタビュー】 大村 崑

90歳になっても、できることが増えていくのは、実に愉快ですな。

 

【人間探訪】 宇崎竜童

妻の料理を手伝う自分と、ヤバい役を演じる自分の距離感が面白い。

 

【シリーズ】 シニアのための「生き生き」講座

誤嚥性肺炎を防ぐ秘訣は「自分の口で噛んで食べる」こと。五島朋幸

「運動」「趣味」「会話」は認知症予防のキーワード。瀧 靖之

 

【対談】一緒にスープを食べよう ―― 差異はきっと乗り越えられる。

中北浩爾×石井啓一

 

【好評連載】

【対談】高島礼子の歴史と美を訪ねて(22)

 だから僕は「敗者」の視点から歴史を描く。

天野純希×高島礼子

 

宿帳拝見――「あの人」が愛した湯(7)

 大林宣彦と由布院温泉「玉の湯」。山崎まゆみ

 

池田思想の源流 ―― 『若き日の読書』を読む(8)

 ゴーゴリが見たロシア社会。佐藤 優

 

深掘り!「三国志」(12)最終回

 中国三代悪女より悪い? 賈南風と晋の滅亡。塚本靑史

 

寄せ場のグルメ(36)

 「横浜市民酒場」―― その歴史と心意気。中原一歩

 

トクサンの「人間野球」日誌(11)

 佐々木朗希投手の未来を見つめて。トクサン

 

世界への扉(69)

 「二歳児マスク」と責任を取れない症候群。三浦瑠麗

 

【連載小説】

蒼天有眼 ―― 雲ぞ見ゆ(35) 山本一力

 

梧桐に眠る(6) 澤田瞳子

 

吉野朝残党伝(18) 天野純希

 

第33回 読者手記発表!

テーマ「私の健康法」

読者手記 大募集!

(第36回 テーマ 人生最高の一皿)

 

 

USHIO情報BOX

暮らしの相談室【貯蓄編】(退職後の生活に必要な資金は?)/ecology&economy新しい生活様式のエコライフ(温度を下げて光熱費もダウン)/熟年世代の危機管理術(台風・水害に備える)/SAFETY&SECURITY IT博士と学ぶデジタル社会の歩き方(ワンクリック詐欺にご注意‼ ~覚えておきたい手口と対策~)/楽して楽しむガーデニング(キッチンハーブの育て方)/ナンバープレイス/手近な素材で簡単おうちごはん(ゴマだれ)/近ごろカラダが何かヘン!?(トイレが間に合わない)/サトミツの知っててよかった!お掃除豆知識(キッチン用スポンジを清潔に)/おうち時間に簡単体操(ストレッチで背中を柔軟に)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/最近気になるモノ(ポッコリお腹にアプローチ)

 

ずいひつ「波音」

こころを聴く(79)民族の原点。中西 進/生き延びる力。河合雅司/本の新しい居場所を探して。幅 允孝/じわじわとクセになる気象通報。今井明子/きょうだいげんかと世界平和。坂爪真吾

PEOPLE2022/世界のネコたち(ロサンゼルス)/ティー・エイジ流カフェ散歩(今宵、シネマのような裏町の喫茶バーで)/トピックス(モネの庭を訪ねて)/四季の風景(雨薫る季節)

潮ライブラリー/新聞クリッパー/今月のちょっといい話/クロスワード・パズル/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて

 

読みどころ

【特別企画】ロシアの行動原理

「正教大国」というアイデンティティがもたらした国家の迷走。 

 寺島実郎(日本総合研究所会長、多摩大学学長)

プーチンの危機感、ゼレンスキーの焦燥──侵攻の深層。 

 佐藤 (作家・元外務省主任分析官)

それでも国連は、残されている対話のテーブルだ。

 鈴木一人(東京大学公共政策大学院教授)

 

 なぜロシアはウクライナを侵略したのか。侵攻開始から3カ月が経過した今、3人の論客にその背景を深掘りしていただきました。

 寺島実郎氏はまず、エネルギー大国でありながら経済小国でしかないロシアの悲哀から考察。次に、プーチン大統領が心酔する「ロシア正教」が、権威主義と排他主義を生み出していると喝破します。特にナショナリズムと民族宗教が一体になった時の暴走は、約80年前に私たち日本人も経験しているとの指摘は、重いものがあります。

 佐藤優氏は、国際政治学者ミアシャイマー氏の「戦争の責任はアメリカとNATOにある」との分析から論を起こします。プーチン氏を侵略に駆り立てた危機感とは何なのか。さらに佐藤氏は、戦争の熱狂に惑わされず、2008年に行われた池田大作SGI会長とキーウ工科大学総長(当時)のズグロフスキー氏の対談に立ち戻って、議論を始めるべきと訴えます。

 今回の戦争を、2014年のロシアによるクリミア併合から振り返る鈴木一人氏の論稿も必読です。機能不全と批判される国連の役割については、そもそも国連は国家の上位にあるものではなく、敵対する国家同士でも対話できるテーブルを用意することに意義があると指摘。戦争終結に向けての現実的な方途を提言しています。

 

 

【特集】日本政治の焦点

〈対談〉危機の時代における政治の役割。

 中北浩爾(一橋大学大学院教授)× 石井啓一(公明党幹事長/衆議院議員)

緊迫の国際情勢と平和安全法制の意義。

 北側一雄(公明党副代表/衆議院議員)

 

 政治学者の中北浩爾氏と石井啓一公明党幹事長の初顔合わせが実現! コロナ感染症やウクライナ侵略といった「危機の時代」に、政治は何を考え、いかに動くべきなのかを提示する、示唆に富んだ対談となりました。

 テーマは安全保障から物価高騰対策、子育て支援策、コロナとの戦いなど多岐にわたります。そのなかで中北氏は、「公明党は話が大衆に向いていて、非常に具体的」であり、「地方議会から国会に繋がるネットワークが強固なので、各地域に行き届く形で実現する」ことに感嘆の声をあげています。それを受けて石井氏も、「マクロの視点が得意な自民党と、現場から上がってきた声をしっかりと受け止めるミクロな政策の公明党が補い合いながら、安定した政治のもとで危機を乗り越えていく」と、強い決意を表明しています。

 続く北側一雄副代表は、緊迫化する国際情勢の中でいっそう際立つ、「平和安全法制」の意義をわかりやすく解説。NATO加入を申請したフィンランドやスウェーデンを見てもわかる通り、現代は自国のみで防衛を担うことは困難であり、なにより同盟関係が最重要です。日米同盟に関しては、2015年に「平和安全法制」が施行されたことで両国間の信頼が盤石なものとなり、抑止力が深化していることが証明されています。平和という理念と、安全保障というリアルの両立を追求する姿勢は、今こそ政治に求められる「責任」といえるでしょう。

 

 

【インタビュー】 大村崑

90歳になっても、できることが増えていくのは、実に愉快ですな。

 御年90歳にして、「いまが一番元気!」と意気軒昂な大村崑さん。しかし5年前は健康とはほど遠い「ザ・おじいちゃん」だったそうです。ところが奥様に誘われ、ジム通いが始まると、今では40キロのバーベルを背負ってスクワットもできるようになったとか! インタビュー中も、背筋はシュッとされ、笑顔は絶やさず、身振り手振りをまじえエネルギッシュな大村崑さん。本当に90歳とは思えない若々しさでした。日々の筋トレや運動法、さらに健康を保つ食事術など、私たちにもできそうな若返りの秘訣を、余すことなく紹介します。

 インタビューの後半では、実母との別れ、継母との確執、芸人になってからの苦労譚など、涙と笑いが詰まったご自身の半生を振り返ります。読めば「元気ハツラツ!」となること、うけあいです。

 

 

【シリーズ】シニアのための「生き生き」講座

誤嚥性肺炎を防ぐ秘訣は「自分の口で噛んで食べる」こと。五島朋幸(歯科医師、ふれあい歯科ごとう代表)

「運動」「趣味」「会話」は認知症予防のキーワード。靖之(東北大学加齢医学研究所教授)

 

 8月号では、「誤嚥性肺炎」と「認知症」という、二つの病をクローズアップ。

 歯科医師の五島朋幸氏は、まずは誤解だらけの誤嚥性肺炎の原因を解説。食事がきっかけと思われがちですが、最も警戒すべきなのは、睡眠時に唾液を誤嚥することと、胃から逆流してきた胃液を誤嚥することだそうです。むしろ食事を制限したり、胃ろうなどから栄養を取り込むことで、口の機能が低下して、さらに誤嚥を引き起こしやすくなるとか。その他、誤嚥性肺炎を防ぐための食事のとり方や、歯磨きの重要性など、知られざる情報が満載です。

 もう一本は、脳の発達や加齢のメカニズムを研究してきた東北大学の瀧靖之氏が、今日からできる脳の機能を保つ方法を伝授します。脳の機能が加齢とともに委縮していくことは避けられませんが、認知症が発症する時期を先送りすることはできるそうです。それには、ランニングや早歩きなどの「運動」と、読書などの「趣味」を楽しむこと、そして何より人との「会話」が効果的なんだそうです。特に大切なのは、日常的にささやかな「幸福感」を感じること。ぜひお試しあれ!

 

 

連載ドキュメンタリー企画(135

「民衆こそ王者 池田大作とその時代」希望をつなぐ人篇(14

 

1954(昭和29)年、若き池田大作による御書の講義は、

大阪の弘教の原動力になった。

地区や支部の人数などを確かめる「統監」の作業は、

連日深夜に及んだ。

統監という「陰の労作業」を、池田は決して見逃さない。

「目を真っ赤にさせながら、数字を書き込み、

人知れず、懸命に計算されている姿を、

幾度となく、私は見てきた」

池田は「大阪の戦い」で彼らのもとへ何度も足を運び、

「白百合」に譬えて励ましを贈るのだった。

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