潮出版社
 
 
潮2021年9月号
月刊「潮」 潮2021年9月号
発刊日
2021年8月5日
価格
660 (本体 600円)

目次

【特別企画】コロナ禍のその先へ

パンドラの箱に残った「希望」。中西 進

「在宅ひとり死」という選択―― ただし、保険にはつながること。上野千鶴子

鎌田實の「希望・日本」(16) 

 「人口減少」でも充実して生きられるまちづくりへ。鎌田 實

コロナ脱出のカギはワクチン接種にあり。浅香正博

 

【特集】問われる政治の役割

煽動と大衆蔑視が日本共産党の思想の根源。佐藤 優

無責任な野党共闘が政治の混乱を招く。川上和久

コロナ後の日本再生へ 公明党の新たな挑戦。竹内 譲

 

【特集】どうなるニッポン経済

データは語る――「医療」と「経済」両立への可能性。仲田泰祐×藤井大輔

【連載対談】ニッポンの問題点(45)

 経済対策のキモは観光・飲食・中小企業を守ること。飯田泰之×田原総一朗

包摂的な「福祉国家」を目指すべき。神津里李生

 

連載ドキュメンタリー企画

民衆こそ王者 ――池田大作とその時代

<希望をつなぐ人>篇(6)

 

【人間探訪】

向井千秋

制約がある大人が見る夢は、強度が高く実現する可能性も大きい。

 

【クローズアップ】藤井聡太

史上最年少九段――十九歳の棋士が忘れぬ「初心」。

 

【新連載】深掘り!「三国志」(2)

 なぜ関羽は、「商売の神様」になったのか。塚本靑史

 

【新連載】トクサンの「人間野球」日誌(1)

 イッツ、ショウタイム! トクサン

 

【シリーズ】シニアのための「生き生き」講座

 脳を壊す悪習慣 悪口依存症にご用心!? 杉浦理砂

 「おひとりさま」でも入居可能! 高齢者の賃貸事情。 山本 遼

 「夏対応の体」をつくって熱中症対策を。 三宅康史

 

【対談】すべての報道は誤報から始まる。 瀬尾 傑×武田 徹

 

【ルポ】特別支援学校の球児たちが目指す甲子園への道。 黒島暁生

 

 

【好評連載】

【連載】高島礼子の歴史と美を訪ねて(12)

 原爆の悲劇を長崎で最後にするために。篠﨑桂子×高島礼子

 

名越康文のシネマ幸福論(35)

「笑い」は心の整理術。

名越康文

 

世界への扉(59)

女性が女性に対して異議を申し立てるとき。

三浦瑠麗

 

寄せ場のグルメ(26)

<対話編>寄せ場と「縁食」。(下)

藤原辰史×中原一歩

 

大相撲の不思議(69)

外国人力士の日本語。

内館牧子

 

 

【連載小説】

蒼天有眼――雲ぞ見ゆ(26)

山本一力

 

水の月(14)

中江有里

 

吉野朝残党伝(8)

天野純希

 

第23回 読者手記発表!

テーマ「ペットは家族!」

読者手記 大募集!

(第26回 テーマ 嗚呼、若気の至り)

 

USHIO情報BOX

暮らしの相談室【年金編】(失業保険をもらうのと、年金をもらうのとではどちらが得?)/ecology&economy 新しい生活様式のエコライフ(電気代の節約 ~エアコン②~ )/熟年世代の危機管理術(「防災の日」に向けて準備すべきこと)/SAFETY&SECURITY IT博士と学ぶデジタル社会の歩き方(Zoomでミーティングを主催する ~スマホ版~)/楽して楽しむガーデニング(夏越しのポイント)/ナンバープレイス/手近な素材で簡単おうちごはん(焼き肉のタレ)/近ごろ…カラダが何かヘン!?(声がかすれる)/サトミツの知っててよかった!お掃除豆知識(除湿器のメンテナンス)/おうち時間に簡単体操(ハーフスクワットで下半身を強く)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/最近気になるモノ(自分だけのための熱中症対策)

 

ずいひつ「波音」

こころを聴く(69)青金メダル。中西進/メガネ。佐藤賢一/日本の窮屈な観光を危惧する。平沼義之/またひとつおねえさんになった。古田徹也/「迷う」ことの価値。佐々木俊尚

 

PEOPLE2021/世界のネコたち(ドイツ)/”ティー・エイジ流”カフェ散歩(時代の先端を走り続ける純喫茶)/トピックス(動物園の天使たち)/四季の風景(誌上 残暑お見舞い)

潮ライブラリー/クロスワード・パズル/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて

読みどころ

【特別企画】コロナ禍のその先へ

「パンドラの箱に残った希望」中西 進(国文学者、国際日本文化研究センター名誉教授)

「『在宅ひとり死』という選択――ただし、保険にはつながること」上野千鶴子(社会学者、東京大学名誉教授)

 特別企画は「コロナ禍のその先へ」と銘打ち、4名の論客にご登場いただきました。

 巻頭では、8月号に続いて国文学者の中西進氏が、新型コロナ感染症から何を学ぶかを、文明論的視点から論じています。中西氏は、「文明」を追求し「文化」を軽視した結果が今回のパンデミックだと喝破。文明とは果てしなき欲望の発露であり、中世ヨーロッパでは、その結果ペストや自然破壊を呼び込んでしまったといいます。一方で文化とは、人間の心や物事の本質に迫り、心を豊かにする存在であり、科学や宗教、思想、哲学、芸術もその範疇に入ります。私たちは、環境問題やエネルギー政策も含め、コロナ前の文明社会に戻ろうとするのではなく、今こそ文化的視点から未来を模索する必要があるといえるでしょう。

 2人目は、「おひとりさま」という言葉を世に知らしめた上野千鶴子さん。それから14年が経過し、特に大きく変わったのは「独居高齢者」の割合が増えたこと。上野さんは長年介護の現場を歩いてきて、施設や病院が好きな高齢者はいないことを確信。むしろ「独居」をポジティブに捉えるべきと訴えます。一方で、社会や政治に対する舌鋒鋭い上野節も健在。認知症を怖がる社会ではなく「安心して認知症になれる社会」をつくることや、訪問ヘルパーへの処遇を改善すること、そして「介護保険」等にはつながっておくことなどを熱く語ります。

 

「コロナ脱出のカギはワクチン接種にあり」浅香正博(北海道医療大学学長)

 特別企画の3人目は、北海道医療大学学長の浅香正博氏。同大学では、学生・教職員など計6000人を対象に、全国の大学に先駆けて職域接種を開始。さらには大学のある北海道当別町のワクチン接種支援にも乗り出すなど、「道内で集団免疫を獲得した最初の町」として、全国のモデルケースを目指すと語ります。

 ワクチン接種がすすめば、コロナもやがてインフルエンザと同様の「流行性感冒」に変わっていきます。むしろ問題なのは、昨年の死亡原因の内訳によると、肺炎やインフルエンザの死者が激減する一方で、自粛生活の影響からか筋力や心肺機能低下による老衰死と、失業やストレス等が原因とみられる自殺者が増加していることです。政治や専門家会議は、コロナ対策だけでなく、生活や雇用、メンタルを守るための施策まで、ウイングを広げるべきだと言及しています。

 

【特集】問われる政治の役割

「煽動と大衆蔑視が日本共産党の思想の根源」佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

「無責任な野党共闘が政治の混乱を招く」川上和久(麗澤大学教授)

「コロナ後の日本再生へ公明党の新たな挑戦」竹内譲(公明党政務調査会長、衆議院議員)

 きたる秋の衆院選を前に、国際情勢やコロナ対策など多くの課題が山積するなかで、1本目の特集では「いま政治が果たすべき役割」を見つめ直します。

 公明党候補が全員当選を果たした都議会選挙。一方で、日本共産党と立憲民主党も野党共闘の結果、議席を伸ばしました。佐藤優氏は日本共産党が他党の実績を実現したと喧伝する理由には、大衆に向けて多少の嘘をついてもかまわないとする「大衆蔑視の選民思想」があると指摘しています。党の本質を見極めて、正しく政治を理解する必要性が求められています。

 さらに政治心理学が専門で麗澤大学教授の川上和久氏は、立憲民主党と日本共産党は基本政策が大きく異なっており、連立政権は難しいと語ります。さらに衆院選の争点として、緊急事態への対応、安全保障体制の強化、経済の活性化、研究開発能力の強化の4つの点を挙げて、お話しいただきました。

 公明党政務調査会長の竹内譲氏は、公明党が打ち出した重点政策を、コロナ禍での取り組みを振り返りながら解説。公明党が国民の生活を思いながら実現した、ワクチン接種、給付金や助成金についての政策が語られ、コロナ禍から再生するための、今後の「三つのアクション」に言及。「経済と生活」「社会的孤立の防止」「子育て・教育」の3つを解説します。

 

【特集】どうなるニッポン経済

【インタビュー】「データは語る――『医療』と『経済』両立への可能性」藤井大輔(東京大学大学院特任講師)vs仲田泰祐(東京大学大学院准教授)

<連載>ニッポンの問題点45

「経済対策のキモは観光・飲食・中小企業を守ること」田原総一朗(ジャーナリスト)vs飯田泰之(明治大学政治経済学部准教授)

「包摂的な『福祉国家』を目指すべき」神津里季生(日本労働組合総連合会会長)

 もう一つの特集は「どうなるニッポン経済」。数理モデルを用いて感染症対策と経済損失との関係性を分析している、藤井大輔氏と仲田泰祐氏をインタビュー。行動制限によって感染者数はどう変化するのか、オリ・パラ開催と感染への影響などを分析し、各方面から注目をされています。また失業率や自殺者増への対策、ワクチン接種率向上の効果など、いま最も必要な経済政策のポイントが、データを通して明確に見えてくるのです。

 田原総一朗氏の連載「ニッポンの問題点」のゲストは、飯田泰之氏。コロナショックのダメージは、観光業や飲食業など、特定の業界に集中しています。そこで財政出動の重要性やその効果、また、日本独自の多様性ある中小企業を守ることが先決だと語り合います。

 最後に登場するのは、連合(日本労働組合総連合会)会長の神津里季生氏。コロナ禍は、「有期・短時間・派遣」など不安定な雇用形態の人々に、特に大きな打撃を与えました。喫緊の対策としては、雇用保険の適用範囲と、生活保護の捕捉率の視点を意識して、その両面からセーフティネットを拡充することだと指摘。さらに、この国に生きるすべての人を包摂し、何があっても路頭に迷わせない、北欧諸国のような福祉国家を目指すべきと訴えます。

 

連載ドキュメンタリー企画(127)

「民衆こそ王者 池田大作とその時代」希望をつなぐ人篇(6

大学闘争の時代、「学生参加」を訴え抜く老碩学がいた。

『国家悪』などの力作で知られる大熊信行である。

84歳まで創価大学で教え、

「創立者の偉大さを日本人はわかっていない」と口癖のように語り続けた。

平和を求め、教育に生涯を捧げた大熊と、池田の対話をひもとく。

 

定期購読
月刊「潮」の定期購読をご希望の方はこちらからお申し込みいただけます。