潮出版社
 
 
潮2020年9月号
月刊「潮」 潮2020年9月号
発刊日
2020年8月5日
価格
660 (本体 600円)

目次

【特別企画】新たなる日常へ――ウィズ・コロナと日本人

 

「恐怖感」に流されず、合理的・立体的な判断を

藻谷浩介

 

ニューノーマルの時代をどう生きるか

吉原直樹

 

岩手県からなぜ感染者が出なかったのか

小川 彰

 

ウイルスもネット情報も免疫力が大切です

松林 薫

 

氾濫する情報に惑わされないための心得帖

石川幹人

 

コロナと妊娠――赤ちゃんの命を守れ!

石井光太

 

「だる・ふら・いた・ねば」を感じたら熱中症にご用心!

秋山正子

 

 

 

【特集】戦争から遠く離れて

ある音楽療法士に託された「戦争の記憶」

佐藤由美子

 

「玉砕の島ペリリュー」後日譚

ゆき惠・ヒアシュ

 

てい談「杉原ビザ」から始まった知られざる”命のバトン”(後編)

山田純大×北出 明×ヤコフ・ジンベルグ

 

 

 

連載ドキュメンタリー(116)

民衆こそ王者 池田大作とその時代

未来に生きる人篇(19)

 

 

 

【連載】鎌田實の「希望・日本」(4)

患者と仲間たちをコロナから守る

鎌田 實

 

【現地ルポ】熊本豪雨ーー被災地で見た光景

粟野仁雄

 

繰り返される黒人差別ーーその根深い現実

池上 彰

 

ロヒンギャ難民の現在地

中坪央暁

 

 

読み手次第で味わいが変わる『論語』の正体

加藤 徹

 

【対談】あなたの「居場所」はどこにある?

名越康文×東畑開人

 

【連載対談】ニッポンの問題点(33)

大学は「二十一世紀の宮本武蔵」を輩出せよ

吉見俊哉×田原総一朗

 

「愛着障害」って聞いたことありますか?

岡田尊司

 

第11回読者手記、発表! テーマ「危機一髪!」

 

 

●好評連載●

寄せ場のグルメ(14)

「土手下」に息づく独自の焼肉文化(上)

中原一歩

 

師弟誓願の大道ーー小説『新・人間革命』を読む(20)

「人権」のバトンを引き継ぐ同志

佐藤 優

 

世界への扉(48)

米中「新冷戦」――推進派の思惑と日本の立ち位置

三浦瑠麗

 

大相撲の不思議(57)

相撲部屋

内館牧子

 

 

●連載小説●

水の月(2)

中江有里

 

蒼天有眼――雲ぞ見ゆ(17)

山本一力

 

芦東山(21)

熊谷達也

 

読者手記大募集!(第14回テーマ 旅は道連れ)

 

 

USHIO情報BOX

暮らしの相談室・年金編(60歳を過ぎてフルタイムで働くと、受け取る年金はどう変わる?)/サトミツの知っててよかった!お掃除豆知識(スニーカーを洗おう!)/シニアのためのスマホ講座(地図アプリを使いこなそう)/悠々在宅介護術・ベッド上のお世話②(ベッド上で清潔に過ごしてほしい)/家計にやさしいエコライフ(電力・ガス会社の見守りサービス)/快適生活ワンポイントアドバイス(賢く水分補給)/災害列島で生き抜く~本当に必要な防災用品とは?~(新しい生活様式の備蓄品)/美と健康のための新習慣(食後にお腹の調子を整える)/ナンバープレイス/おいしく食べて健康づくり(疲れ目予防)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌・俳句・時事川柳/最近気になるMONO(非接触グッズ)

 

ずいひつ「波音」

こころを聴く57  倒立した死。中西進/茄子のはさみ揚げ。サンキュータツオ/歴史を血肉化する。辻田真左憲/忘れないために。時雨沢恵一/本の向こう。松岡享子/

 

カラーグラビア

PEOPLE2020/世界のネコたち(ミャンマー)/”ティー・エイジ流”カフェ散歩(白い森で本と笑顔に心和む)/トピックス・絶滅の危機に瀕する動物たち/水辺のオアシスへようこそ!

 

潮ライブラリー/新聞クリッパー/今月のちょっといい話/クロスワード・パズル/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて

読みどころ

【特別企画】新たなる日常へ――ウィズ・コロナと日本人

「『恐怖感』に流されず、合理的・立体的な判断を。」藻谷浩介(株式会社日本総合研究所調査部主席研究員)

 

 連日、感染者数の増加が報道され、いよいよ第二波前夜の様相を呈している昨今。しかし日本総研主席研究員の藻谷浩介氏は、恐怖や不安をあおるばかりの報道やSNSに惑わされてはならないと、警鐘を鳴らします。例えば映像で「ゴーストタウン化した東京」を報じるのはわかりやすいわけですが、東京のすべてが同じ状況に陥っているわけではありません。安易な二分法に走る報道姿勢が、私たちの真実理解を難しくしているのです。また藻谷氏は、政治の姿勢にも言及。SNSの声が「市民の声」と勘違いし、その場しのぎの政策を取るのはポピュリズムであり、「敵か味方か」「右か左か」の二分法ではなく、合理的なガイドラインをつくり、修正する際は勇気を持って対応できる政治家が今こそ必要だと訴えます。

 なお同特集では、松林薫氏(社会情報大学院大学准教授)の「ウイルスもネット情報も免疫力が大切です。」や、石川幹人氏(明治大学教授)の「氾濫する情報に惑わされないための心得帖。」も掲載。未曽有の事態だからこそ、それに対抗する私たちの姿勢はいかにあるべきかを考えさせられる3本です。

 

「『だる・ふら・いた・ねば』を感じたら熱中症にご用心!」秋山正子(認定NPOマギーズ東京 センター長)

 

 特別企画は全部で7本。ここで少し趣向を変えて、在宅看護の専門家でナイチンゲール記章も受章した秋山正子氏に、いま一番気を付けたい「熱中症」の対策術を伝授していただきました。特に注意を要するのは高齢者です。子どもは体重の80%が水分ですが、高齢者は50%と、この段階ですでに「かくれ脱水」! 一日1リットルから1.5リットルの水分補給が基本ですが、そんなに簡単ではありません。そこで本稿では手軽に水分を摂取する方法を紹介。また夏場の脱水症状の目安は「だる」(だるい)「ふら」(ふらつく)「いた」(脚がつる、頭痛)ですが、マスクが手放せない今夏は「ねば」(口の中が粘つく)も加えてほしいと注意を喚起します。安心・安全な夏を過ごすための秘訣が満載の論稿です。

 

 

【特集】戦争から遠く離れて

「『戦争の記憶』を次代へ、未来へ、語り継ぐ。」佐藤由美子(米国認定音楽療法士)

2

 

 75回目の終戦記念日を迎える8月。そこで、特集「戦争から遠く離れて」と題して3本の記事を掲載。なかでもアメリカのホスピスで「音楽療法士」を長年務めてきた佐藤由美子さんは、そこで出会った戦争経験者たちが、今わの際に「戦争体験」を遺していったエピソードを教えてくれました。そこからわかるのは、死の瞬間まで、人は戦争の記憶から逃れることはできないという厳しい現実。しかも日本と戦った元アメリカ兵だからこそ、日本人である彼女にその記憶を語ってくれたのではないかと、佐藤さんは思い至ります。そしてこのような悲劇を二度と起こさないよう、戦争の記憶を語り継いでいかなくてはならないと、私たちに呼びかけるのです。

 

 

「繰り返される黒人差別――その根深い現実。」池上彰(ジャーナリスト)

 

 全米から世界へ、大きな渦を巻き起こした「黒人差別抗議デモ」。なぜアメリカでは幾度となく差別と抗議が繰り返されるのでしょうか。そこでジャーナリストの池上彰氏に、アメリカという国が根源的に内包している「差別」について、わかりやすく「池上解説」していただきました。そもそもアメリカは奴隷制度を前提に成立した国であり、合衆国憲法にもその痕跡は残っているそうです。さらに南北戦争と有名なリンカーン大統領の「奴隷解放宣言」も、根本的な解決には至らなかったと言います。またオバマ大統領の誕生が、逆に白人至上主義者の危機感を強めたとも分析。報道だけでは見えてこない、アメリカの本質が見事に浮き彫りになります。

 

 

【対談】「あなたの『居場所』はどこにある?」名越康文(精神科医)vs東畑開人(臨床心理学者)

 

 テレビでもおなじみの精神科医・名越康文氏と、大佛次郎論壇賞を受賞した臨床心理学者・東畑開人氏の対談は、あおり運転や自粛警察、ネット炎上といった昨今の問題が、現代人の居場所のなさと関係していると論じます。特に身につまされるのが、SNSと身体の関係性。自分の部屋に閉じこもりながら世界とつながるのがネットですが、それだけでは「自分が生きる場所」にはならず、じかに人と触れ合う関係がないと、私たちはますます煮詰まってしまうそうです。誰かと一緒にいること。そしてその関係が安全であること。コロナ禍の今だからこそ、二人の語らいは私たちに、居場所の重要性を啓示してくれています。

 

 

連載ドキュメンタリー企画(116

「民衆こそ王者 池田大作とその時代」未来に生きる人篇(19

 

1951年(昭和26年)9月から、

23歳の池田大作は埼玉の川越で「地区講義」を担当する。

川越駅前の会場には毎回、30人ほどの老若男女が集まった。

病や経済苦と闘う参加者たちに、池田は訴えた。

“生命の境涯からいうならば、皆さんは大学で学ぶよりも

立派な最高の哲学を学んでいるんですよ“

「信」を根本に蘇生していく人々のドラマを追った。

 

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