潮出版社
 
 
潮2020年6月号
月刊「潮」 潮2020年6月号
発刊日
2020年5月2日
価格
660 (本体 600円)

目次

特別企画 「コロナ後の世界」を見据えて

 

「ポスト・コロナ」に向けた視座。 寺島実郎

ウイルスが世界の歴史を塗り替えてきた。 出口治明

知識と免疫力で感染症を正しく恐れる。 鈴木潤

危機時の経済対策は「一律給付」で原則である。 飯田泰之

感染症と国民性――イタリアと日本に生きて。 ヤマザキマリ

【ルポ】スペイン医療崩壊――何が起きていたのか。 宮下洋一

【ルポ】今そこに棲む隣人、コロナ氏。 馬場マコト

東京五輪延期――今こそスポーツの力を信じたい。 酒井政人

 

連載ドキュメンタリー企画114

民衆こそ王者 池田大作とその時代 未来に生きる人篇(17)

 

 

特集 シニアのための「希望」講座

【新連載】鎌田實の「希望・日本」第一回

「離れて」つながる。 鎌田實

シルバー・アンダーグラウンド(20

ビール造りで西成に雇用と生きがいを。 石井光太

七十七歳で博士号取得した私の方法。 吉岡憲章

「検索力」を磨いてスマホを使いこなそう。 岡田ゆうか

【ルポ】民生委員ってご存じですか? 大森貴久

 

【ルポ】「混血孤児」と呼ばれた男の物語。 高橋幸春

沖縄離島の地域振興は「教育立町・立村」にあり。 橋本晃和

 

【連載対談】ニッポンの問題点30

「教育格差」という困難な現実にどう向き合うか。 松岡亮二×田原総一朗

 

第8回 読者手記、発表! テーマ「元気の源」

 

  • 好評連載

寄せ場のグルメ11 労働者の腹を満たす深川の“めしや”。(上) 中原一歩

世界への扉45 「自粛」のしわ寄せは弱者へと向かう。三浦瑠麗

名越康文のシネマ幸福論21 「未知」との距離感。名越康文

大相撲の不思議54 網打ち。内館牧子

師弟誓願の大道――小説『新・人間革命』を読む17 「信心即生活」という原理。佐藤優

シルクロード「仏の道」紀行 第2部天山南路 第9回パミール高原。安部龍太郎

 

  • 連載小説

蒼天有眼――雲ぞ見ゆ14 山本一力

芦東山18 熊谷達也

覇王の神殿 伊東潤

 

読者手記大募集!(第11回テーマ 危機一髪!)

 

Ushio情報box

暮らしの相談室・年金編(定年退職するまでに病院に行っておいたほうがよい理由とは?)/サトミツの知ってよかった!お掃除豆知識(カーテン手入れ)/シニアのためのスマホ講座・SNSのおさらい編(インスタグラム②)/悠々在宅介護術・排泄編②(トイレでスムーズに用を足してほしい!)/家計にやさしいエコライフ(洋服を整理する)/快適生活 ワンポイントアドバイス(賢く衣替え)/災害列島で生き抜く~本当に必要な防災用品とは?~(長期停電への備え)/美と健康のための新習慣(二の腕&肩を軽くスッキリ)/ナンバープレイス/おいしく食べて健康づくり(歯周病予防)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/最近気にあるMONO(手軽な圧縮袋)

 

ずいひつ「波音」

こころを聴く54 ナイルの流れのように。中西進/いま「中古典」が面白い。鎌田浩毅/インドからの手紙。笠井亮平/独創とともにあった街の本屋。長岡義幸/外出自粛がつらい人 つらくない人。河合蘭

 

カラーグラビア

PEOPLE2020/世界のネコたち(沖縄)/ティーエイジ流カフェ散歩(本物の大人が通う「学校」)/シルクロード「仏の道」紀行/トピックス(新型コロナウイルスと戦う人びと)

 

潮ライブラリー/新聞クリッパー/今月のちょっといい話/クロスワード・パズル/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて

読みどころ

 

「ウイルスが世界の歴史を塗り替えてきた」

出口治明(立命館アジア太平洋大学〈APU〉学長)P.40~

 4月7日に発表された国の緊急事態宣言以来、外出自粛の要請が続いています。新型ウイルスと戦い続ける生活は、これからいったいどうなっていくのでしょうか。今号では特別企画「『コロナ後の世界』を見据えて」と題し、経済や人類史、感染症学といった専門的な視座に立つ論考に加えて、イタリア、スペイン、そして日本の現場を知る人々の迫真の記事をまとめました。

 出口氏は人類史の視点から、「人類は昔から、何度もパンデミックを経験してきました」と語ります。ウイルスは人類誕生のはるか昔から地球上に存在しており、感染症は一種の自然現象といえます。自然現象であるウイルスの感染症を、人類がやすやすとコントロールできるはずはありません。過去のパンデミックで人類は、新型コロナウイルスとは比べ物にならないほど多くの死者を出してきたのです。

 そのうえで出口氏は、パンデミックが起きるたび、人類は新たな時代を生み出してきたと指摘します。14世紀に起こったペストの流行は、あのルネサンスの潮流へとつながります。1918年に発生したスペイン風邪の流行は第一次世界大戦を終結させる大きな原因の一つになったそうです。出口氏は最後に「今こそ人類は『信頼』と『連帯』によってコロナウイルスに打ち勝ち、人類が理想とする新しい世界を目指すべきだと思います」と強く訴えかけています。

 

 

「知識と免疫力で感染症を正しく怖れる」

鈴木潤(麻布大学名誉教授)P.50~

ウイルスの大きさは0.1から0.3マイクロメートル(1マイクロメートル1ミリメートルの1000分の一)とされます。今回の新型コロナウイルス感染症は、人間の目に見えない存在によって引き起こされるという点で、人々の不安や恐怖を呼び起こしているのかもしれません。

本記事では、感染症についてわかっている基本的な事実を確認しながら、一般の私たちでもできる感染症対策を紹介する内容となっています。

鈴木氏によると、新型コロナウイルスは、空気感染はせず、飛沫感染や接触感染によって広まり、非常に速いスピードで増殖するそうです。患者のなかで、医師が驚くほどのスピードで重症化してしまった方がいたのも、このためとされます。

 感染症対策についてのポイントとしては、「感染経路を遮断すること」、「人体に備わる三段階の生体防御」、「生体防御のうち自然免疫を活性化させること」が挙げられています。十分な睡眠、栄養を取り、体温を保ちながら、前向きな心、ポジティブな心で自然免疫を高めていきましょう。

 

 

「危機時の経済対策は『一律給付』が原則である」

飯田泰之(明治大学政治経済学部准教授)P.56~

新型コロナウイルスの感染拡大によって、日本経済も大きなダメージを受けています。今回の経済危機――コロナ・ショックについて飯田氏は、「感染症の拡大により、まず実体経済がダメージを受けている。この影響が金融危機に飛び火するかどうかの瀬戸際にあるという現状認識が必要だ」と語ります。2008年に発生したリーマン・ショックと今回を比べると、「リーマン・ショック時は大手証券の破綻という形だったが、今回の金融危機は、日本中にある数えきれない中小企業や個人事業主の資金繰りが行き詰まるという形」で発生してしまう可能性があるそうです。身近なお店や中小企業で発生する数十万円から数百万円というミニマム(極小)な規模の金融危機が、日本中で無数に重なり、日本という国の規模での巨大な金融危機に結びつく瀬戸際にあるのです。

最初は規模がミニマムであるため、誰が危機の被害者で、誰が被害者でないのか、その全貌を見分けるのは困難です。そのため、政府に求められる経済対策は「『一律給付』や『仮払い・事後清算』の組み合わせで行うべきである」と飯田氏は述べます。この点で、公明党の強い働きかけ等によって成立した「一人当たり10万円を所得制限なしで一律給付」という現金給付策を飯田氏は評価しています。

戦争状態かと思うほどの経済ダメージを受けているいま、さらなる経済対策をどうするべきなのかを、具体的に論じた記事となっています。

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