潮出版社
 
 
潮2020年5月号
月刊「潮」 潮2020年5月号
発刊日
2020年4月6日
価格
660 (本体 600円)

目次

【特別企画】新型肺炎という難問

「コロナ・ショック」の地経学。船橋洋一

危機の時代を生きる若者たちへ。萱野稔人

人類は感染症といかに戦ってきたか。加藤茂孝

難局を乗り越える経済対策とは。永濱利廣

「うわさの公式」で解く買いだめ騒動。松田美佐

全国一斉休――教訓を次に活かすために。内田良


【特集】「超高齢社会」の傾向と対策

【シリーズ・最終回】被災地で”幽霊”が教えてくれたこと。鎌田實

認知症で資産凍結!? その前にすべき三か条。杉谷範子

その腰痛、ウォーキングが効果的です。谷川浩隆

高齢者虐待を防げ!ケアラー支援の最前線。石井光太


アスリート列伝】大迫傑――

新しい挑戦の裏には、常に「負け」があった。サカイマサト


ヘンリー王子とメーガン妃 王室離脱の波紋。多賀幹子


連載ドキュメンタリー企画113

民衆こそ王者――池田大作とその時代 未来に生きる人篇16


【連載対談】ニッポンの問題点29

なぜ日本からアマゾンが生まれないのか

田中道昭 VS 田原総一朗


【ルポ】3・11から始まった北洋舎の働き方改革馬場マコト


「繊細さん」を知っていますか

武田友紀


【インタビュー】理想のオーガニック農場を作り上げた夫婦の奮闘。

ジョン・チェスター


第7回 読者手記発表! テーマ「卒業」


書ければ楽しい!エッセイの極意。

岸本葉子


●好評連載●

寄せ場のグルメ10 高田馬場――中国人留学生が集う街(下)。中原一歩

名越康文のシネマ幸福論20 「師匠」と「先生」の違い。名越康文

シルクロード「仏の道」紀行 第8回 カシュガルへの道。安部龍太郎

師弟誓願の大道――小説『新・人間革命』を読む16

「信心の血脈」を受け継ぐ和合僧団。佐藤優

世界への扉44 国際協力を絶やすべきではない。三浦瑠麗

大相撲の不思議53 張出。内館牧子


★連載小説★

芦東山17 熊谷達也

覇王の神殿20 伊東潤


読者手記大募集!第10回テーマ「あの日に還りたい!」


Ushio情報box

暮らしの相談室(保険編)認知症保険について知っておくべきことは?/サトミツの知っててよかった!お掃除豆知識(温水洗浄便座のノズル、掃除してますか?)/シニアのためのスマホ講座【SNSのおさらい編】(インスタグラム①)/悠々在宅介護術【排泄編①】(失敗なくトイレで用を足してほしい!)/家計にやさしいエコライフ(LED照明はどれくらいお得なの?)/快適生活ワンポイントアドバイス(春バテに注意)/災害列島で生き抜く~本当に必要な防災用品とは?(感染症に備える衛生用品)/美と健康のための新習慣(足の疲れとつまずき予防)/ナンバープレイス/おいしく食べて健康づくり(抜け毛予防)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/最近の気になるMONO(マルチオープナー)


ずいひつ「波音」

こころを聴く53 美しい「棋譜」。中西進/猫たちの記憶を抱いて。村山早紀/先輩との再会。宮下洋一/食虫植物に魅せられて。木谷美咲/はい機械。荒木優太


カラーグラビア

PEOPLE2020/世界のネコたち(コスタリカ)/ティー・エイジ流カフェ散歩/シルクロード「仏の道」紀行/トピックス

読みどころ

  • 巻頭インタビュー

「『コロナ・ショック』の地経学。」船橋洋一(ジャーナリスト)

 巻頭企画では、元朝日新聞主筆でジャーナリストの船橋洋一氏に、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスがもたらす国際情勢についてお話しを伺った。

 タイトルにある「地経学」とは、簡単に言えば他国とともに発展しようとする外交姿勢ではなく、経済を手段に相手を打ち負かそうとする手段のこと。トランプ大統領や習近平国家主席の登場や、イギリスのEU離脱など、貿易のみならず、政治や環境問題、情報化社会等々、各国が自国中心主義に陥る真っ只中に、今回の「コロナ・ショック」が発生してしまった。

 船橋氏はウイルスの恐怖もさることながら、分断化される国際社会において、最も被害を受けるのは社会的弱者だと警鐘を鳴らす。返す刀で日本政府に対しては、福島第一原発事故の経験を生かせず、いまだに官僚組織のタコツボ化を乗り越えるリーダーシップを発揮できていないと指摘。原発事故の民間事故調査委員会を主宰した船橋氏だからこそ言える、説得力溢れる論稿となっている。

 

 

  • 特別企画 新型肺炎という難問

「危機の時代を生きる若者たちへ。」萱野稔人(津田塾大学総合政策学部長・教授)

「人類は感染症といかに戦ってきたか。」加藤茂孝(元国立感染症研究所室長)

「難局を乗り越える経済対策とは。」永濱利廣(第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト)

「『うわさの公式』で解く買いだめ騒動。」松田美佐(中央大学文学部教授)

「全国一斉休校――教訓を次に活かすために。」内田良(名古屋大学大学院准教授)

 

 新型コロナウイルス禍は、経済的損失もさることながら、買いだめや学校一斉休校、外出自粛要請、医療崩壊など、これまで経験したこともない事態を引き起こしている。こうしたなかで、私たちがいまもっとも注意すべきことは何だろうか。特別企画では、五つの視点から各界の専門家の皆さんにお話しを伺った。

 津田塾大学総合政策学部長・教授の萱野稔人氏は、メディアや一部の政治家の当事者意識のなさが、無意味な政権批判や陰謀論につながっていると指摘。いまは病床などの限られたリソースをどう有効に活用するかが喫緊の課題であり、危機の時こそ私たちはメディアやSNSに踊らされず、冷静な行動を心掛けるべきと論ずる。

 元国立感染症研究所室長で、ウイルス学者の加藤茂孝氏も、およそ二十万年前から続く感染症と人類の歴史を振り返りながら、今回の肺炎について「収束するまでは予断を許しません。とは言っても、過剰に恐れを抱く必要もありません」と述べ、大切なのは正しい知識を持つことだと語る。

 経済エコノミストの永濱利廣氏は、現在の日本が「景気後退、消費増税、新型コロナウイルス」の三重苦に見舞われていると指摘。このままいけば「リーマンショック」級の不況が現実味を帯びてきてしまう。この状況を打開するためには、全品目にわたる軽減税率の導入や、キャッシュレスポイント還元の拡充などが必要になってくると述べる。

 中央大学教授の松田美佐氏は、メディアや口コミに翻弄され、買いだめに走ってしまう私たちの行動原理を「うわさの公式」を用いて解説。「非常時においては、“問題の重要さ”と“証拠の曖昧さ”が掛け算の効果を発揮して、“強いうわさ”が膨らんでしまう」と語る。先行きが見えない現在だからこそ、私たちは安易に結論に飛びつくことを避けながら、「曖昧さへの耐性」をつけていくことが重要だと結論づける。

 最後に、テレビでもおなじみの内田良氏には、一斉休校要請の是非について論じていただいた。内田氏は「休校そのものは必要な措置だった」と総括。しかしあまりに急すぎた点と、地域差を考慮せず全国一斉に行ったことを問題視。また、今回の休校実施によって、学校が社会的なインフラとしての役割も果たしていることが明確になった。だからこそ、学校教育を持続可能なものにしていくために、教員の労働環境についても改善していく必要があると提言する。

 

 

【シリーズ】鎌田實の輝く人生の「終い方」第14回=最終回

「被災地で”幽霊“が教えてくれたこと。」鎌田實(医師、作家)

 鎌田實氏の大好評連載「輝く人生の『終い方』」も、いよいよ今月号で最終回。今回は、東日本大震災の被災地でたびたび見られる「幽霊現象」を引き合いに、死者と生者をつなぐ「霊性」の存在について論じる。

 幽霊と聞くと、怖くて気味が悪い存在だと思いがちだが、被災地の幽霊は怖くはなく、どこか温かいという。幽霊や生々しい夢が、突然愛する人を失った家族にとっては、故人への「さようなら」や「ありがとう」を伝えるチャンスになっているのかもしれない。だからこそ彼らの存在は、私たちに生と死がつながっていることを教えてくれているし、死は怖くもなければ忌み嫌うものでもないのだと述べる。

 そして最後に、「人生の質だけでなく、死の質、つまり死への準備を整え、人生の総仕上げをすることの大切さが見直されてきている」「きちんと“死”と向き合えば、豊かな“死”を迎えることができる。僕はそう信じている」とのメッセージで、連載を締めくくっている。

 

 

【アスリート列伝】

「大迫傑――新しい挑戦の裏には、常に『負け』があった。」サカイマサト(スポーツライター)

 31日に行われた東京マラソンで、自身の持つマラソン日本記録を更新し日本人トップでゴールした大迫傑選手。昨年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)では5秒差の3位に終わり、東京五輪代表内定を逃した。その悔しさをバネに、東京マラソンで見事文句なしの代表内定を勝ち取った大迫選手の強さの秘密はどこにあるのか。大迫選手に10年以上取材を続けてきたスポーツライターのサカイマサト氏(ご自身も箱根出場経験あり)が、その奥深いマラソン哲学に鋭く迫る。

 

 

連載ドキュメンタリー企画(113)

「民衆こそ王者 池田大作とその時代」未来に生きる人篇(16)

「聖火鶴見に炎上」

――1951年(昭和26年)420日、

「聖教新聞」の創刊号に、

神奈川・鶴見の快進撃を報じる見出しが躍った。

その陰には一人の青年の姿があった。

「冬は必ず春となる」――日蓮大聖人のご金言を通し、

病に臥せる壮年や、生活苦にあえぐ婦人に

希望を送り続けた若き日の池田先生の奮闘を描く。

 

 

定期購読
月刊「潮」の定期購読をご希望の方はこちらからお申し込みいただけます。