スペシャルメッセージ

歴ドル・小日向えりさんの応援メッセージ

小日向えり 横山光輝先生の『三国志』の魅力の一つは、原典である『三国志演義』に沿って桃園の誓いから蜀の滅亡までを丁寧に描ききっている点だと思います。単行本にして六〇巻という長い作品ですが、その中で起承転結があり、最初から最後までがきちんと繋がっています。

 もちろん、一人の登場人物を追いかけたり、特定のエピソードを取り上げたりするだけでも三国志は面白いのですが、物語の全てを知ってこそわかる面白さや魅力があります。

 また、服装や鎧の描き分けが非常に細かいですよね。韓遂の個性的な鎧とか(笑)。「横山三国志」はそうやってストーリー以外の部分でも楽しめるのがいいですね。
 私は昔から歴史が特別好きだったわけではなく、大学一年生の時に「横山三国志」を読んで、そこから歴史にどっぷりはまりました。なので、凄く愛着があるんです。

 三国志を知ったきっかけも、ある時たまたま見つけた赤兎馬(三国志をコンセプトにしたファッションブランド)の張飛Tシャツがかっこよかったからなんです。それで三国志を知りたくなって、三国志好きの人に聞くと、みんな「横山三国志」を勧めるので、夏休みを利用して読みました。そしたらとても面白かった。

 日本の幕末、戦国時代の歴史も好きなのですが、唯一、三国志だけの面白さだと思うのは、一番ファンタジー性が強いところです。幕末は一五〇年前ですから写真も資料も豊富にありますし、戦国時代も文献がある程度残っています。しかし三国志は一八〇〇年も前ですから、例えば曹操についての文献もそこまで残っていません。資料が乏しいからこそ、読み手がそれぞれの想像を働かせながら読むことができるのです。

 三国志はキャラクターも個性豊かで、エピソードも豪快です。なので、ゲームのようなエンターテイメントにしやすい。

 今、ミクシィ(※日本最大規模のソーシャル・ネットワーキング・サービス)で「女の子だけど三国志が好き」というコミュニティに入っているのですが、みんな一人一人お気に入りのキャラクターがいて、オリジナルの小説を作ったりしています。三国志は史実に捉われない分、柔軟に楽しめます。

 今、私の好きなキャラクターは呉の武将の呂蒙です。庶民の出身で、武芸には長けていても教養がなかった呂蒙は、主君の孫権に「武術だけではなく、学問も身につけるように」と諭されます。そこから勉学に励み、後に上司の魯粛に「呉下の阿蒙にあらず(呉にいた頃の蒙ちゃんではない)」と言わしめた努力の人です。私はこのエピソードが大好きで、とても尊敬できる人物です。

 以前、中国から来た留学生に、三国志が好きだと言うとそれだけで打ち解けられたことがありました。私も外国の方が日本の文化を愛してくれたら凄く嬉しいですし、それは中国の人たちも同じだと思います。三国志が日中友好のツールになるんじゃないかな、とその時に感じました。
三国志は中国の民衆が面白いと思えるようにどんどん作りかえられています。千年かけて熟成された完璧なストーリーが作られているのですから、面白くないわけがありません。今でも、世相を反映してその時代に合った三国志が作られています。そうやって積み重ねられた歴史の深みが、今でも三国志が多くの人を魅了する理由ではないでしょうか。

 この十一月、横山光輝「三国志」検定が開催されると伺いました。三国志ファンにとっては待望のイベントですから、大喜びだと思いますね。
(月刊「潮」2010年11月号に掲載予定)

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【小日向えりさんプロフィール】
歴ドル(歴史アイドル)の草分け的存在。三国志検定3級(女性芸能人唯一の検定保持者)。
小日向さんのブログ
「ひなんこフォトブログ」(http://yaplog.jp/hina-photo/ )
 
「三国志見聞録」(http://ryo0207.cocolog-nifty.com/)

 

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