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「項羽と劉邦 若き獅子たち」

「コミックトム」誌上で15年の歳月をかけて描かれた「三国志」の連載が、1987年3月号で終了。間を置かずして、巨匠は新たな大型連載に取り組みます。

 

同年5月号から「項羽と劉邦の時代を描く」とサブタイトルのついた「若き獅子たち」の連載がスタート。秦の始皇帝即位から始まり、楚の項羽・漢の劉邦による天下統一への戦いの軌跡をダイナミックに描いたこの新連載は、読者を狂喜させました。

 

その後「項羽と劉邦」は新書版(全21巻)、文庫版(全12巻)、新装版(全12巻)のコミックとして刊行され、いまも新たな読者を獲得し続けています。

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第1巻 始皇帝暗殺

 

 春秋戦国時代に終止符をうった秦王・政は始皇帝と名乗り、栄華を極めた。しかし、その暴虐の政治を恨む者は数多く、常に暗殺の危機に見舞われていた。そして何より、人間には寿命がある。あの手この手で長寿を願った始皇帝だが、巡行の途上でこの世を去る。その時、宦官・趙高にある野望が芽生える。

 趙高の専横により天下は乱れ、人々の苦しみ、恨みは頂点に達した。各地で反乱の機運が高まる中、沛県では劉邦、会稽の地には項梁・項羽が頭角を現しつつあった。

 漢楚戦争を描いた「項羽と劉邦 若き獅子たち」。ダイナミックなプロローグとともに、堂々開幕。

 

【目次】

前兆/天籙秘訣/焚書坑儒/暗殺計画/三巻の兵書/血気の男/虐殺/始皇帝死す/趙高の野心/

粛清/小役人劉邦/妻を娶る/旅路/芒碭山/動乱/赤い旗/項梁起つ/項羽の怪力

 

項羽と劉邦関連地図

戦いでたどる勇者たちの歴史(1) 秦の始皇帝/井波律子

『史記』『漢楚軍談』から『項羽と劉邦』へ

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第2巻 秦軍大反攻

 

 項梁・項羽は范増を軍師として迎える。范増の献策によりかつての楚王の子孫を探し出し、楚国を再建する。項梁らのもとには諸侯が続々と集まる。淮西(わいせい)から盱眙(くい)へと進軍する途上、項梁のもとに劉邦が10万の兵を率いてくる。項羽と劉邦が初めて顔を合わせる。劉邦を見た范増は自分の仕えるべき者を誤ったと悟ったが後の祭りであった。

 一方、陳勝らの反乱軍を制圧した章邯は、趙高に楚を討つように命じられ30万の軍勢を率いて出立する。まずは周辺の弱いところから叩こうと魏から攻撃する秦軍は、救援に駆けつけた斉・楚軍を撃破し、魏を攻略し楚をも攻略しようとする。

 項羽は存分に武勇を見せつけ秦軍を震え上がらせるが、章邯の戦略により油断させられた項梁が討たれ復讐の鬼となる。項羽を総大将とした楚軍と秦軍との死闘が激しさを増す…。

 虞美人・韓信・英布、そして名馬烏騅…。魅力の新キャラがぞくぞく登場!

 

【目次】

虞姫/黥布/楚の後継者/天運を持った男たち/秦軍反撃/魏攻略/豪勇項羽/負けるが勝ち/

精鋭健在/おごれる者の末路/悲報/長滞陣/宋義を討つ/背水の陣/夜襲

 

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戦いでたどる勇者たちの歴史(2) 陳勝・呉広の乱/井波律子

神話的人物として描かれた項羽

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第3巻 関中争奪戦

 

 章邯が楚軍相手に苦闘している中、秦王朝では遊び惚ける暗愚な二世皇帝胡亥と、宦官・趙高による暴政が続いていた。趙高は権力を握るために、李斯に謀反の罪を着せ、一族郎党とも処刑する。

 章邯は秦を見限り、ついに項羽に降伏する。楚王により、秦打倒を命ぜられた項羽と劉邦は東西ふた手に分かれて進撃することになった。その際、「先に関中に入った者を王とする」ことが決められた。

西から行くことになった劉邦は途上、酈食其(れきいき)や張良といった賢人を、さらには潅嬰といった豪傑を加えながら進む。降伏する敵には寛容を示すことで、次々と城を通過していった。

 一方、東から進んでいた項羽は、各地で苛烈な戦いをしながら進む。敵に容赦しないことが、逆に相手の奮起を促し、項羽軍の進行速度が遅くなる。

 劉邦らの軍が咸陽に迫る中、趙高の矛先は皇帝にも向けられるが、それは自らの命を縮めることになった。次の秦王となった子嬰は、稀代の悪臣である趙高を謀殺する。しかし、秦王朝の灯は消える寸前であった…。

 

【目次】

常勝将軍/権力の亡者/馬と鹿/内憂外患/章邯降伏/東西の道/酈食其/張良を借りる/殺戮集団/

洛川の潅嬰/趙高の反乱/秦王子嬰/趙高の最期/嶢関攻防戦/威陽入城

 

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戦いでたどる勇者たちの歴史(3) 反乱の拡大と秦王朝の滅亡/井波律子

仲間を殺していく者と仲間を得ていく者

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第4巻 鴻門の会

 

 河北を平定した項羽は、反乱の兆しありとして、捕虜となっていた20万の秦軍の虐殺を命ずる。このために人心が離れることになった。

 函谷関に近づく項羽軍に対し、劉邦は一旦は守りを固めるが、圧倒的な兵力の差に恭順の意を示す。しかし、項羽の軍師、范増は劉邦を将来最大の敵になると見て、劉邦に罪を着せ早々に葬ろうと画策する。項伯や張良らの助けもあり、項羽への弁明の機会を得た劉邦は鴻門にいる項羽のもとに釈明をする。項羽が劉邦を見くびったこともあり、劉邦は危機を逃れる。

 秦王・子嬰を誅殺した項羽は咸陽に入る。漢中王を名乗ろうとするが、懐王は約束を果たせと言い項羽の要求を認めなかった。この機会に、劉邦のもとにいる張良を亡き者にせんと范増は難癖をつけるが、張良は機転をきかしうまくかわす。項羽は楚の覇王を名乗ることにし、秦の始皇陵を暴き、始皇帝が残した膨大な財宝を手に入れる。

 劉邦の処遇に窮した項羽は、范増の具申により、辺境の巴・蜀・漢中を与え、秦の降将、章邯・司馬欣・董翳を三秦王とし劉邦への備えとする。劉邦は難路を乗り越え、漢中に入る…。

 

【目次】

大虐殺/星占い/三つの罪/親友/鴻門の会/危機脱出/重宝を砕く/子嬰処刑/楚覇王/財宝を求めて/

地下宮殿/火を放つ/左遷の地/虎口脱出/蜀の桟道/韓王の死/韓信の奏上文

 

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戦いでたどる勇者たちの歴史(4) 鴻門の会/井波律子

劉邦を支えた樊噲と蕭何のはたらき

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第5巻 大元帥誕生

 

 咸陽に戻った張良は、子どもたちにある歌をはやらせる。噂を聞きつけた項羽は歌を天の声であるとし、遷都を命じる。項羽を諌めようとした韓生を煮殺すように命じる。人材をいとも簡単に殺す項羽を韓信は見限る。張良は韓信のもとを訪れ、劉邦に仕えるように進言し、割符を渡す。

 彭城に遷都したがっている項羽は、義帝を郴州へ移動するように何度も范増に催促するが、ついにしびれを切らし、英布らに命じて義帝を暗殺する。

 韓信は彭城を脱出し、蜀の地を目指す。韓信の才を見抜いていた范増はすぐに追いかけるように命ずるが、陳平から受け取った通行手形が役に立つ。途上で義兄弟となった辛奇の助けもあり、嶮難を乗り越えついに漢中にたどり着く。

 人材を広く探しているという木札を見て、韓信は夏侯嬰を訪ねる。会見し、韓信の才に惚れ込んだ夏侯嬰は、蕭何らとともに劉邦に推挙する。しかし、韓信の過去を知っている劉邦は穀倉役人、そこで成果をあげると、次いで治粟都尉に取り立てる。韓信は劉邦に見切りをつけ他国に走ろうと脱出するが、蕭何らはすぐに追いかける。蕭何・夏侯嬰の決死の進言により、劉邦は韓信を大元帥として迎えることを決意する。

 大元帥の儀式の際、樊噲が逆上して問題を起こし、危うく死罪になりかけたが、恩赦により助けられる。そして、韓信は十七箇条に渡る厳しい軍規を定める。

 

「三国志」と「項羽と劉邦」をつなげる読み切り『虎はゆく〈韓信伝〉』

「項羽と劉邦」系単行本初掲載!!。

 

【目次】

はやり歌/韓生を煮殺す/宝剣/揚子江の惨劇/咸陽脱出/難路を行く/招賢館/大器の片りん/

穀倉役人/治粟都尉/韓信逃亡/割符を見せる/樊噲逆上/大元帥誕生/軍律十七箇条/軍律違反

 

〈読み切り〉虎はゆく(韓信伝)

 

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戦いでたどる勇者たちの歴史(5) 劉邦の反撃/井波律子

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第6巻 水火の計

 

 韓信による漢軍の調練が実を結びつつあった。いよいよ東征へという段となり、韓信は樊噲に対し桟道を短期間で修復せよと命令する。実現不可能に思える命令だったが、これは敵も味方も欺く韓信の策であった。

 楚では范増ひとりが漢軍の動きを察して手当をする。しかし、増援の季良・季恒はじめ、章邯ら三秦の王達は漢軍を侮っていた。

 漢軍は4つの隊にわかれ陳倉道を進む。途上、韓信はかつて自分を助けてくれた辛奇と再会し、自らの陣に向かい入れる。辛奇は道案内役となり、樊噲の軍は章邯の弟、章平が守る散関を攻める。かねてより脱走と見せかけた兵が内部に侵入していたこともあり、漢軍は死者を出すことなく散関を陥落させる。

 漢軍は章邯のこもる廃丘城を攻める。章邯を場外におびき寄せ、火攻めを行う。章邯は命からがら逃れる。廃丘城にこもった章邯だったが、韓信は兵達にヤジを飛ばさせ、章邯を怒らせる策にでる。敵が本当に油断するのを待っていた章邯だったが、その機会を逆に韓信は捉え、章邯を追い詰める。傷ついた章邯は援軍が来るまで籠城を決め込むが、韓信は水攻めをもって廃丘城を攻め取ることに成功する。

 その後も韓信は董翳、司馬欣を計略により破り、味方に引き入れることにより、三秦を平定する。桃林城に逃げていた章邯は韓信の軍と対峙するが、追い詰められついに自決をする。

 咸陽では司馬移らが守っていたが、偽兵の計によりあっけなく落城する。こうして、劉邦は長い間待ち望んでいた咸陽へ戻ることが出来た。咸陽の人民は劉邦の到着を大歓迎する…。

 

【目次】

東征準備完了/脱走兵/陳倉道/再会/散関陥落/火攻め/挑発/

夜討ち/水攻めの計/董翳降参/偽りの降伏/三秦平定/章邯自決/偽軍

 

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戦いでたどる勇者たちの歴史(6) 劉邦の関中制覇と敗北/井波律子

二人の老人――范増と酈食其に見る横山作品の新しさ

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第7巻 張良の暗躍

 

 陸賈からの連絡を待ちわびる劉邦のもとに張良が戻ってきた。劉邦は歓待するが、張良は休む間もなく自ら申陽と魏豹を説得に向かう。項羽に対しては、偽の檄文を作成し、斉を攻めさせることにした。檄文を見た范増は、張良の意図を見抜くものの、喫緊の危険を取り除くことを優先させるために、あえて斉を討つことに同意する。果たして、項羽はすさまじい勢いで隣国斉に兵を向けた。

 平陽の魏豹を説得することに成功した張良は、次いで洛陽に向かう。しかし、申陽は陸賈の献策を受け、張良を捉えてしまう。楚に護送する途上、樊噲らによって救出された張良は、陸賈も捕らえる。追ってきた申陽を捕らえた張良はついに説得を成功させる。西魏王魏豹と河南王申陽が漢に降ったことで劉邦の威光はますます響き渡り、国々の諸侯も次々と劉邦に忠誠を誓い始めた。

 豊沛に住んでいる劉邦の一族が人質にとられる可能性を懸念した韓信は、密かに救出作戦を命じる。王陵の知人の周吉と周利は、楚軍に捕らえられた一族を助け出したが、老人・女・子供が多く、咸陽までの長い道のり遅々として進まなかった。項羽の命により、英布と鍾離昧は猛追を開始する。脱出を急ぐ一行。周兄弟の軍が命と引き換えに時間を稼ぐが、英布らの軍に全滅させられ、あと一歩のところまで迫られる。しかし、周勃・陳武の軍が援軍に駆けつける。英布はやむなく引き返す。

 劉邦は楚への侵攻を決意するが、その前に楚を助ける殷を平定しなければならなかった。殷王、司馬卬は慌てて出陣するが、韓信らの鮮やかな指揮のもと大勝し、殷を平定する。項羽の命により救援に向かった項荘・季布は引き返す。激怒した項羽を諌めようとした陳平であったが、さらに項羽の怒りに触れ、官位を剥奪される。陳平は楚を脱出し漢の劉邦へ仕えることにした。

 斉を平定した項羽だったが、依然田栄一族が各地で一揆を起こしていた。勢いを増した劉邦は、周りの意見にも耳を貸さず楚への侵攻を開始することにした。韓信を咸陽の守りにつかせ、56万もの大軍を率いて彭城に向かった。途中、張良が陳留に向かうために離れる。劉邦は独断で魏豹に大元帥に任ずる。彭城をあっという間に攻め取った漢軍であったが、軍規は緩みきっていた…。

 

【目次】

張良との再会/項羽北上/魏豹を説得/陸賈の裏切り/申陽降る/人質奪回/追手猛追/援軍到着/明暗/

殷へ侵攻/漢軍退去/河内平定/陳平 漢に走る/素行と才能/東征決意/魏豹大元帥/彭城落城/驕る漢軍

 

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戦いでたどる勇者たちの歴史(7) 彭城の危機/井波律子

『史記』の韓信と「楚漢軍談」の韓信――ドラマチックに描かれた横山版韓信の登場

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第8巻 韓信の復帰

 

 項羽は三万の兵を率いて彭城を攻める。油断しきっていた漢軍は散々に打ち破られる。項羽の勢いは止まらず、司馬コウ、申陽らを倒す。五十万の兵をもつ劉邦であったが、大混乱に陥る。張良や韓信の諌めを聞かなかったことを後悔する劉邦は、単騎逃亡する。逃亡の途上、ある農家の家に一晩とまりもてなしを受ける。後年劉邦の寵愛を受けた戚夫人との出会いであった。夏侯嬰と落ち合った劉邦は落ち着きを取り戻し、自国へと急ぐ。張良らとも再会し、滎陽城へと向かう。劉邦を慕う漢軍の兵らは続々と集まってきた。

 劉邦を取り逃がした項羽は、司馬欣、董翳らを処刑する。捕らえた劉邦の父と妻は范増の具申により、人質として扱われることになった。さらに斉を平定したことにより、劉邦打倒に意欲を持つ。

 再起を図る劉邦は、魏豹を大元帥から解任するが、韓信が恨んでいるのではないかと心配する。張良は、漢軍をさらに強くするために彭越と英布を加えたいという。英布には同郷の随何を派遣し説得させる。英布は成り行き上漢に向かうことを決意したが、城を脱出する際に多くの犠牲を払ってしまう。一族を楚軍に皆殺しにされた英布は、項羽と命がけで戦おうとする男に変わった。

 一方、自邸に引きこもっていた韓信であったが、張良らの計による大規模な芝居に乗せられ、再び漢の大元帥として指揮をとることになった。戦車など新たな戦法を考えだし、兵を調練するなど項羽との戦いに備える。

 韓信は項羽を戦車戦で有利な平原におびき出すため、項羽を怒らせるような手紙を送る。果たして、項羽は三十万の精鋭を率いて彭城を目指した。万全の態勢で楚軍を迎えた漢軍は、戦車隊で項羽らを囲み、あとひと押しというところまで追い詰めたものの、項羽は一点突破で脱出をし、さらに范増の手による援軍により項羽は窮地を脱した。

 初めての大敗に気弱になった項羽に対し、范増は、謹慎している魏豹に目をつけ、占いをやる許負を差し向け、謀反させるように仕向ける。許負は魏豹に凶相を見るが、あえて天命が魏豹になびくと芝居をする。その気になった魏豹はレキ食其の説得にも耳を貸さず、謀反の意志を固くする…

 

【目次】

夜襲/彭城の戦い/睢水の大敗北/九死に一生/赤い旗/人質/再起を図る/説得工作/九江脱出/君臣のけじめ/

大芝居/戦車/韓信の密書/項羽激怒/戦車軍団/滎陽の合戦/占師の予言/魏豹謀反/魏豹の自信

 

項羽と劉邦関連地図

戦いでたどる勇者たちの歴史(8) 滎陽の危機/井波律子

横山作品に描かれた三人の韓信――「虎はゆく」「項羽と劉邦」「史記」の違い

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第9巻 北伐韓信軍

 

 魏豹を討伐するため、韓信は漢軍を率いて臨晋に赴く。黄河を挟んで魏豹は布陣を終え待ち構えていた。韓信は地形を調べあげる。木罌をつかった筏を作らせ渡航させるなど巧みな戦法により、魏豹軍は総崩れとなった。魏豹を捕らえた韓信は、その裁きを劉邦に託し、周叔を牢から出し、魏の国事を任せることにした。

 韓信がいない隙を狙って、項羽は劉邦を攻めることにした。その報を聞いた劉邦は張良と相談するが、韓信の薦めもあり王陵を起用して滎陽城を守ることに。王陵は城の備えを厚くし、奇襲をするなどして楚軍を苦しめる。項羽は王陵を味方に引き入れようと、王陵の母を連れてきて脅す。母親思いの王陵は悩むが、張良の献策により、ひとまず叔孫通を使者に出して真相を探ることに。王陵の母と対面した叔孫通は王陵に項羽のもとにつくよう書簡を書くように要請するが、母親は逆賊の項羽に仕えさせるのを潔しとせず、自害してしまう。逆上する項羽であったが、側近のとりなしにより丁重に弔うことにする。

 叔孫通は漢の大将達が楚と内応させることを約束し、項羽に様子見をさせ、韓信が帰ってくるまでの時間を稼ぐ。項羽を信用させるため、張良は死刑囚の中から王陵と叔孫通に似たものを選んでさらし首にする。内応の失敗から、彭城の危機を感じた項羽は、兵を引くことを決断する。事の顛末を聞いた范増は、張良らの計略を見破るが、後の祭りであった。程なく韓信は劉邦のもとに凱旋する。魏豹は母の嘆願もあり、死罪を免じて庶人に落とし城外に追放された。

 西魏を平定した韓信は休む間もなく、代と趙を討つため出陣をする。この北伐行にはかつて趙の重臣の陳余と無二の親友であった重耳も加わっていた。代城を守る夏悦を巧みな戦法によって捕らえ、籠城を決めた張同も自害したため、代は降伏する。

 その後、趙を討つため出発しようとした韓信のもとに、曹参、周勃、灌嬰の軍を敖倉(ごうぞう)に回すようにという劉邦からの命令が届く。兵力が半減した状態で韓信は趙と戦うことを余儀なくされた。わずか三万の兵で二十万の大軍を相手にすることになった韓信は、河を背にして陣を築き、兵に必死の防戦をさせる。陳余が攻めてくる間に別働隊に趙城を占拠させる。陳余は重耳に倒され、趙は降伏、趙王歇(けつ)も捕らえられ、首をはねられた。趙の賢臣であった李左車を捕らえるが、縄をほどき燕、斉の攻略方法について教えを乞う。李左車の献策を受け、随何を使者に燕王に降伏をすすめる。燕王は蒯通を使者に立てる。韓信と会った蒯通であったが、一言もしゃべる余地を与えられなかった。李左車の薦めもあり、蒯通は燕王に降伏をすすめ、燕王も韓信に降伏の意を示した。

 一方、項羽は范増の言によって再び滎陽を攻める。それに対し、陳平は項羽と鍾離昧・范増らを狙い撃ちしてお互いを離間させる反間の計を劉邦に奏上する…

 

【目次】

木罌筏/奇襲/王陵の弱み/母の自害/にせ首/北伐行/兵法の初歩/代城陥落/強気の陳余/背水の陣

李左車の献策/反間の計/和睦の使者/計の仕上げ/范増の憤死/故事に習う

 

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戦いでたどる勇者たちの歴史(9) 韓信の大勝負/井波律子

横山作品に描かれた軍師の系譜――太公望・張良・孔明

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第10巻 劉邦の反撃

 

 滎陽城から劉邦を逃がすために紀信が影武者となることになった。部下の犠牲に気乗りしない劉邦だったが、紀信の決死の訴えを聞き、紀信の家族の面倒をみることを約束する。時間を稼ぐために、二千人の美女を城から歩いて出させ、紀信の乗った車を出すことに。そして、夜陰にまぎれて劉邦は僅かな手勢を引き連れて成皐の城に向け脱出した。

 楚軍の項羽のもとについた紀信は、項羽から帰順するように言われるが、毅然と拒否し項羽を侮辱し、火炙りにされる。一方、項羽の命により劉邦を追った龍且と季布であったが、すでに劉邦は成皐城に入り、英布、彭越らが援軍を出発させたとの情報が入り、慌てて引き返す。

 滎陽城では樅公、周苛が城を守って奮戦していた。庶民に落とされた魏豹が訪ねてきて反逆を進めるが、樅公は切り捨てる。一丸となって楚と戦う決意を見せたことで、城兵の士気が一気に高まり、連日の猛攻に耐えた。項羽は決死隊をつくらせ城を攻めさせる。項羽の督戦により、ついに一角が崩され、滎陽城は落ちる。樅公は捕らえられ、降伏の説得も聞かず打首となる。一旦は城を脱出した周苛も捕らえられる。項羽を前に侮辱の言葉は吐き、自ら煮えたぎる油の中に飛び込むという壮絶な最期を遂げる。

 項羽は大軍を率いて成皐城を目指す。劉邦は王陵に彭城を攻めさせる。彭越が楚軍の糧道を断ったこともあり、一度撤退することに。劉邦は夜に城を脱出し、韓信のいる修武をめざした。その頃、韓信は斉を攻めることを中止し、平定したばかりの魏、燕、趙ににらみをきかせていた。修武に入った劉邦は、韓信の軍の規律が乱れていることに腹を立てる。酒に酔って寝ている韓信を叩き起こした劉邦は、元帥の印を取り上げてしまう。一度は更迭を考えた劉邦だが、「小事をもって大事を計る」の故事を聞き、思いとどまる。韓信らを元の役職に戻した劉邦だったが、これまで韓信が築いた軍を取り上げ、新たに軍を編成し斉を攻めるように命じる。

 彭越らにより楚軍の食糧が燃やされる。彭城に戻ってきた項羽は、韓信が斉を攻撃に向かうとの報を聞き、龍且に二十万の兵を与え、援軍として送る。そして項羽は自ら彭越を討つために進軍をする。

 外黄城で指揮をとっていた彭越は、項羽軍来るの報を聞き、城を脱出することにする。外黄城の民の安全が問題となったが、そこに現れたのが仇明の長男、13歳の仇叔であった。彭越の脱出後、項羽が大軍を率いてやってきた。3日後、仇明は降伏し、項羽を受け入れる。入城した項羽は15歳以上の男子を生き埋めにしようと命ずるが、仇叔の説得により、取りやめとなる。

 曹咎が守る成皐城を取り戻した劉邦は、反撃の足がかりをつかんだ。

 

【目次】

影武者/二君にまみえず/反逆のすすめ/決死隊/節義に死す/楚軍敗退/韓信の失態/反攻作戦/

奇童/少年説客/罵倒作戦/二城と十七城/功を競う/釜ゆでの刑/無敵軍団/嚢沙の計/仮の斉王

 

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戦いでたどる勇者たちの歴史(10) 韓信の岐路/井波律子

横山先生は項羽軍の武将たちをどう描いたか――季布・鍾離昧から于英・桓楚・英布・范増まで

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第11巻 広武山大戦

 

 斉の国の掌握に手間取っているとして、仮の王のなりたい旨の手紙を受け取った劉邦は一時は怒り狂うが、張良らのとりなしによって考えなおし、仮ではなく真の斉王にすることを認めることにした。張良が使者として斉に行き、斉王の印を韓信に手渡す。韓信は斉王に即位した。

 この動向を聞いた項羽は、韓信を楚に帰伏させようと武渉を使者に立てる。しかし、武渉は説得に失敗する。蒯通は韓信に天下を三分し、ゆくゆくは天下をとるように勧めるが、陸賈が割って入ったこともあり、韓信は裏切りを拒否した。蒯通は遁走し、韓信は滎陽に向け出陣する。

 項羽は広武を進発し、劉邦も出陣する。両軍は三皇山で対峙する。一騎打ちを臨む項羽に対し、劉邦は智力で勝負すると返す。相対する両者だったが、項羽はまっしぐらに劉邦の首を狙って突っ込んできた。たまらず退却する劉邦だったが、鍾離昧による伏兵により、劉邦は矢を受け重傷を負ってしまう。一方、項羽のもとには、韓信の軍の到着を知らせる使者が。楚兵は韓信の名を聞いて浮足立ってしまう。やむなく項羽は軍を立て直すために引き上げる。

 負傷した劉邦だったが、張良らの献策により、痛みをこらえながら陣中を巡行する。項羽は補給路が彭越によって断たれたことから、広武まで引き上げることを決断する。

 韓信と合流した劉邦は進撃の準備を整える。危機感を持った項羽は、人質にしていた劉邦の父を交渉の切り札にしようとするが、結局は失敗する。

 韓信の軍と項羽軍は激突するが、韓信の巧みな戦略により項羽はしだいに追い詰められる。命からがら本陣に戻った項羽は再び劉邦の父を使おうとする。劉邦が退かねば父を煮殺すと脅す項羽だったが、張良の根回しにより、項伯が止めに入る。

 父親を救うために、劉邦は項羽と和睦をすることにした。張良が人選をしているところに、候公が自ら名乗りでて、使者として赴くことになる。項羽にとって好条件を提示したこともあり、漢と楚の和睦が成立するが……

 

【目次】

斉王韓信/天下を握る者/劉邦負傷/激突前夜/韓信の策略/窮余の策/切り札/

密書/和睦/破約のすすめ/固陵脱出/補給を断つ/三人への恩賞

 

項羽と劉邦関連地図

戦いでたどる勇者たちの歴史(11) 項羽と劉邦の対決/井波律子

『項羽と劉邦』に描かれた智謀戦の面白さ

新装版「項羽と劉邦 若き獅子たち」
第12巻 四面楚歌

 

 韓信、英布、彭越の三将軍が劉邦がいる成皐に駆けつけたとの報に諸国の軍勢も集結しはじめた。その数120万。これだけの大軍勢を動かせるのは韓信を置いてはいないと、劉邦は韓信を大元帥に任命する。また、蕭何に兵糧の手配を託す。さらに、気前のいい約束をして漢軍兵士たちを鼓舞する劉邦。その兵たちを韓信は徹底的に鍛える。

 漢軍の動向を聞いた項羽は、各地に檄文を飛ばし、兵力を集めようとする。会稽の呉丹は鄭京の言葉もあり項羽の求めに応じるが、舒六を治める周殷は日和見を決め込むなど、項羽の陣営の足並みは揃わない。結局、楚軍は漢軍の半分にも満たなかった。

 韓信は項羽を戦場へおびき出したいと考え、李左車に相談する。李左車は自ら項羽のもとに降り、言葉巧みに出陣するように促す案を出す。そして李左車自らその策を実行するため、項伯のもとを訪れ、項羽に近づくことに成功する。李左車の言を聞いた項羽は出陣を決意する。しかし、出陣のその日、突如突風が吹き、城門の大旗が折れてしまう。不吉を感じた諸将は出陣を取りやめるように進言。虞姫も手紙を送るが、李左車の偽情報を信じた項羽はそのまま進軍を続ける。

 間もなく李左車の謀は露見するが、後の祭りであった。開き直った項羽は全軍に決戦の心構えを吐露し、楚軍の士気をあげる。

 一方、韓信は、重厚な布陣を諸将の前で発表する。樊噲は、目の良さを買われ、全軍の指揮係を任される。

 劉邦と項羽が対峙し、ついに楚漢の決戦の火蓋が落とされた。韓信は劉邦と李左車を囮にして、項羽を前線に引きずり出す作戦は当たり、楚軍は大敗する。9割もの犠牲を出した項羽は彭城を目指すが、すでに漢軍に奪われていた項羽は江東に向かって逃げ始めた。垓下の久里山に到着し、陣を敷くが漢軍はすでに楚軍を包囲していた。漢軍は次次に楚軍を攻めるが、項羽の鬼神の働きで幾度も撃退される。しかし、楚軍には厭戦気分が広がっていた。そんなおり、四方から漢軍兵士達が歌う楚の歌が聞こえてくる……

 楚漢戦争の英雄群像を描いた横山光輝「項羽と劉邦」、ここに完結。

 

【目次】

漢軍集結/檄文/埋伏の毒/項羽出陣/決戦前夜/布陣発表/漢楚激突/

楚軍大敗/垓下の決戦/四面楚歌/虞姫の死/逃避行/夢/壮烈二十九騎/項羽の最期

 

項羽と劉邦関連地図

著者あとがき

戦いでたどる勇者たちの歴史(12) 項羽の死/井波律子

『史記』の名言を横山先生はどのように描いたか

〈第1巻〉

桃園の誓い

〈第2巻〉

乱世の奸雄

〈第3巻〉

呂布と曹操

〈第4巻〉

孫策の野望

〈第5巻〉

呂布最終章

〈第6巻〉

劉備の秘計

〈第7巻〉

関羽千里行

〈第8巻〉

三顧の礼

〈第9巻〉

赤壁の戦い

〈第10巻〉

劉備の結婚

〈第11巻〉

馬超の逆襲

〈第12巻〉

龐統の誤算

〈第13巻〉

魏王曹操

〈第14巻〉

漢中王劉備

〈第15巻〉

蜀皇帝劉備

〈第16巻〉

孔明の南蛮行

〈第17巻〉

孟獲心攻戦

〈第18巻〉

出師の表

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