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月刊「潮」20185月号 定価620円/毎月5日発売
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今月の注目記事
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    【対談】「『天災と人災』――先人の知恵を語る」(下)
    中西進(国文学者)
    vs
    磯田道史(歴史学者)

    『潮』5月号では、前号で好評を博した中西氏と磯田氏の対談「『天災と人災』――先人の知恵を語る」の(下)を掲載している。日本人は古来、数多くの災害を伝え残してきた。『日本書紀』ではすでに、「人間が造った建造物は地震にはかなわない」という諦観を表現した歌が詠まれている。伝説にあるヤマタノオロチは、噴火した火山から流れてきた火砕流のことだという。災害大国に生きる現代の日本人は、先人たちが残したものからどのような知恵を学んでいけばよいのか。博学卓識の二人による、読みごたえある対談を是非お読みいただきたい。

     


    【特別企画】「AI社会」の視界

    【連載】ニッポンの問題点D「人工知能が映し出す未来の風景」松尾 豊(東京大学大学院特任准教授)vs田原総一朗(ジャーナリスト)

    AI時代に仕事はどうなるか」山川 宏(ドワンゴ人工知能研究所所長)vs井上智洋(駒沢大学准教授)

    「自発的に文章を書く日は来るか」水戸信義(フリーライター)

     第三次AIブームの到来から数年が経ち、「人工知能」「AI」という言葉は、新聞紙上、ビジネス雑誌上で毎日のように目に入るようになった。世界経済をけん引する巨大企業やアメリカ、中国などの大国が多額の投資を進めるなか、その研究は日進月歩で発展しているという。そこで今号の特別企画では、松尾豊氏、山川宏氏ら日本の人工知能研究のトップランナーを迎え、これからの社会に人工知能がどのようなインパクトを与えていくのか語ってもらった。

     松尾氏は田原総一朗氏との対談で、「深層学習」によって人工知能が高い画像認識能力を獲得したことについて言及。家事労働や農業、建設業等、画像認識能力がなかったために機械化から取り残されていた肉体労働が、今後機械化して区との予測が語られている 。それでは、人間の仕事は無くなってしまうのだろうか。松尾氏はそれでも仕事は無くならないという。人工知能の最新事情が分かる、興味深い対談である。

     山川氏は長年人工知能を研究し、井上氏は人工知能が経済に与える影響を研究してきた。顔認証機能やレジなし無人スーパーマーケット、自動運転車……。続々と進む特化型AIの実用化例を紹介しながら、来るべきAI時代にわれわれ人間は何を考えるべきか論じたスリリングな対談は必読である。

    「自発的に文章を書く日は来るか」では、小説の創作や報道記事の作成など、すでに実用化され始めている、人工知能の文章生成システムにスポットを当てた。AIが単独で、創造性の高い文章を書けるようになる日は果たして来るのか。注目のレポートとなっている。

     


    【特集】「働き方」を考える

    「若者が会社で楽しく働くために」常見陽平(千葉商科大学専任講師)

    「教員の長時間労働はなぜ改善されないのか」妹尾昌俊(教育研究家)

    「男女が平等に働ける社会をめざして」三浦まり(上智大学教授)

     昨今、各所で「働き方」について様々な取り組みが行われている。また、長時間労働、社内ハラスメント、副業、報酬形態などなど、「働き方」にまつわる議論は多岐にわたる。そのなかから、「若者」の働き方、「教員」の働き方、「男女」の働き方をテーマに、3名の識者に話を伺った。

     常見氏はリクルート、バンダイ等の企業で働き、フリーランスの個人事業主になったかと思えば、大学院生や著述家、大学の講師になるなど、さまざまな肩書で仕事をしてきた。そんな常見氏は、「会社組織に使われるな。君が会社組織を使い尽くせ」と若者にアドバイスをする。顧客第一主義、株主第一主義のなかで従業員が疲弊してしまうなか、若者はどのようにすれば生き生きと働いていけるのか。軽妙な文体で書かれた、読んでいて楽しい記事となっている。

     日本の教員の長時間労働は極めて深刻な状況になっている。妹尾氏は、こうした長時間労働問題の現状について、その弊害や忙しさの要因、そして解決までのロードマップまで論じている。授業時数が増加しているのに加え、学校自身が、やらないよりは、やったほうがいい≠ニいって、運動会や修学旅行、補修といった特に既定の無い業務も肥大させてしまっていることが、教員の多忙化の要因だと妹尾氏が分析する。日本の教育の根幹である教員の働き方について鋭い問題提起を行った記事である。

    「男女が平等に働ける社会をめざして」では、政治学者の三浦氏が女性の働き方に関する日本社会の課題を整理していった。男女の賃金格差やキャリア格差など、無意識的にでも性差別をもっている会社は多々ある。そのうえで三浦氏は、「女性活躍≠ナ留意すべきは、決して女性を現在の男性のように働かせよう≠ニいうことではない点である」と指摘する。男女が平等に働けること、すべての人が、生活できる賃金とゆとりある生活時間が保障されることこそが働き方改革の目的との主張は明快である。

     


    【オピニオン】「財務省『公文書書き換え』はなぜ起きたか」高橋洋一(嘉悦大学教授)

     財務省は312日、学校法人森友学園への国有地売却の決裁文書に書き換えや削除があったとする調査結果を国会に報告した。このことにより、国会は真相解明のため大きく揺れ動いた。しかし、政権を引きずりおろすこと、政権運営へのダメージを最小限に抑えることにばかり執心するような姿勢が、与野党の一部に見られ、問題を読み解く道筋は判然としない。そこで、元大蔵省(現・財務省)官僚で、財務省の内部事情に詳しい高橋洋一氏が、今回の「公文書書き換え」問題を分析した。高橋氏は、「官僚問題では『キャリア―ノンキャリア』『本省―地方』『財務省―非財務省』という軸を理解する必要がある」語る。外部からはわかりにくい官僚の論理を読み解き、丁寧に分析した記事となっている。

     


    【オピニオン】「動き始めた北朝鮮情勢の深層」杉田弘毅(共同通信論説委員長)

     平昌五輪の前後に攻勢がかかった北朝鮮の「微笑み外交」は、南北首脳会談のみならず米朝首脳会談までも引き出し、世界を動揺させている。こうした北朝鮮情勢は来る首脳会談でどのように変化するのか。

     共同通信論説委員長の杉田氏は、史上初の米朝首脳会談は、「@北朝鮮が核・ミサイルを放棄することはないA軍事攻撃の可能性は小さくなったが、依然残るB米朝は関係正常化の歩みを始めるが容易でないC南北統一は難しくなるD日朝関係も動くが、日本に好ましくない展開が予想される」という結果になると分析する。

     急転しつづける北朝鮮問題はどう見るべきか、大変参考になる論考である。

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