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月刊「潮」201712月号 定価620円/毎月5日発売
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今月の注目記事
  •  【特別企画】総選挙後の日本政治

    ●「有権者は何を選択したのか」川上和久(国際医療福祉大学教授)

    ●「国民が『期待感』を抱ける政権運営を」塩田 潮(ノンフィクション作家)

    ●「野党の混迷と与党が果たすべき使命」竹中治堅(政策研究大学院大学教授)

     1022日に投開票が行われた総選挙は大きな注目を集めた。今回の選挙では、自公政権が信任を得るかどうかはもちろん、大混乱をきたした野党の動向も話題となった。そこで今号では、「総選挙後の日本政治」と題し、識者3名に選挙結果、今後の政治の動向について話をうかがった。幅広い知見から、混迷する日本政治のゆくえを読み解いた最重要の特別企画となっている。

     政治心理学を専門とする川上氏は、希望の党の敗北に着目。選挙戦を通して見られた小池氏の言動や党運営の姿勢、そして民進党議員の抱え込み等が有権者の不信感を増大させた結果と考えた。小池氏のポピュリズム的手法に反発した有権者は、安定した政治″を求めて、自公連立政権を再び選択したと川上氏は見る。与党については、驕り″を有権者に感じさせない、公約の丁寧な実現を進めるために公明党が存在感を発揮するようになると論じられている。

     塩田氏は、与野党の獲得議席数の配分を見て、「勢力比にほとんど変わりがなかった」と結論する。この結果には「全体として政治のバランスを大きく変えたくないという国民の意思」が反映されているのである。「国民に必要な政策実現」のために団結するだけの求心力がない野党、政権運営に「信頼感」がある与党、を国民は冷静に見ているのだ。ただし、自公政権にも欠けているものがあると塩田氏は語る。それが「期待感」である。この「期待感」を国民に持たせられるかどうかが今後重要になってくるだろう。

     竹中氏はこの衆院選の結果を、野党の自滅が招いた与党の圧勝、と総括する。希望の党の結成と民進党の分裂、素人じみた選挙戦略と中途半端な野党共闘によって、政権批判票をまとめることができないまま野党は自滅していったのである。野党は再編を進めようとするだろうが、彼らは安保・外交政策をめぐって結局は対立を続けるのではないかと竹中氏は推測する。一方、与党も財政健全化という難題を抱えている。そこで、組織として長い時間軸で政策論議ができる公明党への期待が語られている。


     
    【特集】がん社会を生きる

    ●「『乳がん』と正しく向き合う」土井卓子(医療法人湘和会 湘南記念病院乳がんセンター長)

    ●「悲しみを癒やす遺族外来″」大西秀樹(埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授)

    ●「がん治療薬の最前線」岩木一麻(作家)

     寿命の伸長や生活習慣の変化に伴い、今や日本人の2人に1人が生涯で一度は「がん」を罹患するようになっている。一方、がん患者の10年生存率は6割近くまで伸びている。「がん、イコール死」というイメージはいまだ根強いが、実態としては、がんを経験しながらも日常生活を維持する人々は増えているのである。そこで、「がん社会を生きる」と題し、がんについて視点の異なる3本の記事を掲載した。

     土井氏の記事では、近年タレントの方の罹患がメディアでも広く取り上げられた乳がんについて、重要な話を伺った。乳がん治療において、まず大切なことは治療の選択肢を広げる、早期発見のための検診だという。さらに、本人に合わせた治療選択、ケアを患者と医者が親身に話し合いながら考えていく体制が重要である。ただ命を助けるだけではなく、人生においてポジティブな意味を「がん」に加えていくために何が必要かを説いた、必読の論考となっている。

     がんをはじめ、「死」を連想させてしまう病気は、病気それ自体の症状のみならず、心理的・精神的な負担、ストレスを患者に感じさせることが非常に多い。また、病気などによって家族と死別した遺族も、非常に大きなストレスを受けてしまう。こうしたストレス、負担にどう対処していけばよいのか。がん患者と家族の精神的なケアを専門とする精神腫瘍科医の大西氏に話を聞いた。

     がんの罹患率は増加している一方、がんの治療法も長足で発達しているという。しかし、がん治療法が実際のところ、どのような仕組みで確立されているのか、そもそもがんとは一体どのような疾患なのか。こうしたことを理解している方は少ないのではないだろうか。そこで、国立がん研究センター等で研究に従事してきた作家の岩木氏に、「がん」とその治療法のメカニズムについて改めて解説してもらった。イラストも添えた、非常に分かり易い注目記事である。


     

    【特集】漁業の未来

    ●「ニッポンの魚食文化を復活させるために」濱田武士(北海学園大学教授)

    ●「日本の水産業の持続可能性を考える」八木信行(東京大学大学院教授)

     2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、近年、世界では和食、そして魚食がブームとなっている。しかし、魚介類の消費量が海外で増加する一方、実は今、日本で魚食文化が危機に瀕しているといわれているのだ。【特集】「漁業の未来」では、危機にあるといわれる日本の魚食文化について濱田氏に、消費量の減少・資源の減少が取りざたされる水産業について八木氏に、それぞれの未来をうかがった。

     センセーショナルな議論ばかりがマスメディアに登場するなか、冷静で建設的な主張を展開する両氏の論考は、日本の漁業を考えるうえで最重要のものといえる。

     


    ●【対談】「日米中関係の現在と近未来」加藤嘉一(国際コラムニスト)vs趙全勝(アメリカン大学国際関係学部教授/アジア研究委員会主任)

     このたび小社から『習近平はトランプをどう迎え撃つか』を発刊した加藤嘉一氏と中国研究の大家である趙全勝氏が、日米中の関係をテーマに対談を行った。トランプ大統領の誕生、習近平の強権化のなか、米中関係の現状はどうなっているのか、東アジアの両雄・日本と中国の将来はどうなるのか。日米中の三国関係が抱えるリスクと希望を具体的に指摘する示唆に富んだ対談となっている。



    ●【連載】世界への扉「日本型リベラルと九条信仰」三浦瑠璃(国際政治学者)

     三浦瑠璃氏の好評連載「世界への扉」。今回は、先の総選挙でも話題となった「リベラル」に焦点を当てた。三浦氏は、リベラルという言葉が意味するところは「一般的には、自由と進歩を大切にする姿勢ということになる」と指摘する。とはいえ、何の自由、何の進歩を大切にするのかをめぐり、リベラル政党の主張は一様ではない。三浦氏はここでさらに踏み込み、日本型の「リベラル」の特徴、そして限界に迫っていく。鋭い切れ味で日本の政治を読み解いた記事となっている。

     

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