詳細情報

月刊「潮」201710月号 定価620円/毎月5日発売
買い物かごを見る
在庫あり
今月の注目記事
  • 【特別企画】「100年ライフ」の針路。

    ●「第二の人生こそ勝負」堀田 力(弁護士、さわやか福祉財団会長)

    ●「『定年後』も社会とつながる」楠木 新(楠木ライフ&キャリア研究所代表)

    ●【レポート】「長寿医療最前線――脳と体の健康のために」吉田燿子(フリーライター)

    ●「夫婦力≠ェ健康長寿の要」本岡典子(ノンフィクション作家)

    ●「81歳でスマホアプリを開発」若宮正子(NPO法人ブロードバンドスクール協会理事)

    ◆===============================================◆

      医療研究の発展、経済成長、公衆衛生や食生活の改善などによって、人の平均寿命は伸びつづけている。特に、日本をはじめとする先進国では100歳を超えて長生きする人生――「100年ライフ」の可能性が大きく取り上げられている。そこで今号では、「『100年ライフ』の針路」と題して、長く生きる秘訣や、充実した第二の人生の送り方などを扱う。

     堀田力氏と楠木新氏の記事では、第二の人生の生き方について語っていただいた。堀田氏は、東京地検特捜部をやめボランティア団体を立ち上げた自分の人生から「利己と利他の精神が両方あいまってこそ、人生に充足感が生まれる」「『肩書という鎧』を脱ぎ去ることから、新しい『第二の人生』が始まる」と指摘。楠木氏は中年期に長期休職したことを機に、定年後の生き方を模索。多くの人への取材を行うなかで、定年後も社会とつながりをもちつづけることの重要性に気が付いたという。社会とつながるために必要なこととして、「どんなことに取り組むにしても趣味の範囲にとどめず、報酬がもらえるレベルを目指すこと」「自らの個性や向いていることを目指すこと」があげられている。どちらの記事も、勤め人であった頃の自分にとらわれない第二の人生のヒントが詰まった興味深い内容になっている。

     吉田燿子氏と本岡典子氏の記事では、最新データに裏付けされた健康長寿の秘訣が語られている。吉田氏は、人間の腸の専門家である辨野義己博士、脳と加齢について研究している瀧靖之教授に取材。辨野博士は、食生活の改善と適度な運動によって腸内環境を良くし、「病気を未然に防ぎ、自らの力で健康をコントロール」できると語る。瀧教授によると、「年齢を重ねても、工夫次第で、脳の機能をある程度維持することはできる」と語る。腸と脳こそが健康長寿な体のカギといえる。本岡氏は、アラハン(アラウンドハンドレッド)で元気な夫婦を多数取材し、夫婦そろって健康長寿の理由を探った。取材のなかで、健康なアラハン夫婦には、誠実な人柄と壮年期の「転婚」(夫婦関係の再構築)の成功が共通していることが明らかになる。そのほか、夫婦がお互いに支え合うための心得も紹介している。健康と長寿のための非常に具体的なアドバイスやヒントがちりばめられた両記事は必読といえる。

     若宮正子氏は、定年後になって初めてパソコンを始めた。それから約20年が経ち、なんとアイフォーン用のアプリを作るまでになってしまった。パソコンやスマホは若い人たちのもの、自分たちにはできないと多くの高齢者は思っているかもしれないが、インターネットを通じた新しい出会いや挑戦を楽しむ若宮氏の記事は大きな刺激になるのではないだろうか。



    【特集】「ストレス社会を生きる」

    ●「ストレスとうまくつきあう方法」福間 詳(横浜港北メンタルクリニック理事長)

    ●「社員のメンタルヘルスと企業の経営倫理」根本忠一(公益財団法人日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所研究主幹)

     研究が進むにつれ、近年、社会におけるストレスは想像以上に人々を苦しめていることが分かってきた。そこで、今回は「ストレス社会と生きる」と題し、そもそもストレスとは何か、企業におけるストレス対策とは何か、などについて福間詳氏、根本忠一氏に話を聞いた。

    福間氏は、ストレスとは「学問的な定義では、脳に何らかの刺激が加わったことで起きる反応」であり、「本来は、ストレスそのものに善悪はありません」と述べる。しかし、過度なストレスにさらされると、人間の心や体はさまざまな不調をかかえてしまう。現代社会でストレスと無縁でいられることは不可能であり、「ストレスを避けず、それに負けないこと、ストレスとうまくつきあっていくことが大切」と福間氏は指摘する。ストレスとのつきあいかたが分かりやすく説かれた重要な記事である。

    根本氏は、メンタルヘルスの視点から過労自殺≠ノ注目。過労自殺の最大の原因は、「労働時間の問題というより、むしろ個々人が抱える孤立感と虚しさ、そして先行きの不安にある」と考察する。この観点からみると、企業ができる過労自殺の対策は、社員のメンタルヘルスを当人のみの問題と捉えず社として関心や配慮を持っていくことがあげられる。「社員が『使命感』と『誇り』、そして周囲との『絆』を感じながら仕事ができ、そこで自分自身の価値を見出せる」ような経営、職場づくりこそが最高のストレス対策になるとの根本氏の指摘は鋭い。職場のリーダーが読んでおきたい記事であろう。




    【連載ドキュメンタリー企画
    86

    ●「民衆こそ王者――池田大作とその時代」先駆者たち――ヨーロッパ篇18

     歴史の石畳を歩き、 文学を語り、仏法の生命論を語る池田の周りには、目を輝かせたイタリアの青年たちがいた。

    質問会で「題目は質と量どちらが大切か」と聞かれ、「10万リラのお札は、1万リラよりも質が高い。そのうえで、10万リラ札を数多く持っていれば、いちばんいいわけです」と笑いを誘う池田。

    「質も量も、両方、大事なのです」と。

    「誰のためでもなく、その人のために」。池田の強い思いは、カトリックの国イタリアにも確かに息づいていった。




    【巻頭企画】

    ●「安倍政権の課題と日本政治のゆくえ」飯尾 潤(政策研究大学院大学教授)

     今年に入り、安倍政権、安倍自民党は明らかに混乱、不安定な状況におかれている。森友学園や加計学園にまつわる一連の疑惑、陸上自衛隊の日報破棄問題、いわゆる「二回生議員」の度重なる不祥事などによって、内閣支持率が急落し、都議選では自民党が大敗を喫した。

     現代の日本政治を長年にわたり研究している飯尾潤氏は「前回の参議院選挙(20167月)に勝利して以降、政権に驕りがあったと見なさざるをえない」と指摘する。ほかに政権の受け皿がないから、と安倍政権を消極的に支持してきた有権者層が、今回の驕りには我慢の限界を迎えたというのである。

     野党第一党の民進党が自民党以上に混乱している現状。政党の枠を超えた、政治に対する信頼の回復が急務である。飯尾氏は、政策提言だけでなく、日本社会の新たな方向性を示すビジョンの発信を政権に期待している。なかでも自民党と連立する公明党には、「自民党とは違った角度で」ビジョンを示すこと、「与野党の橋渡し役を務めること」、「『クリーンな政治』の主導者になる」こと、という3つの役割があると論じている。

     世界的に政治がポピュリズムに翻弄されるなか、日本はどうなるのか。岐路に立つ日本の政治を論じた興味深い記事となっている。


     

    ●【シリーズ】プレイバック「東京オリンピック1964

    「永遠のライバル――君原健二VS円谷幸吉」最終回 松下茂典(ノンフィクションライター)

     1964年東京オリンピックで銅メダルを獲得した円谷幸吉。メダル候補と期待されながら東京オリンピックでは入賞を逃し、次のメキシコオリンピックで銀メダルを獲得した君原健二。高校生以来続いた二人のライバル関係を描く本連載は今号で最終回となる。

     持病の腰と両足のアキレス腱の不安、母校の校長の横やりで破談になった結婚、恩師である畠野コーチとの別れ、そして日の丸の重圧。思いつめる円谷はメキシコオリンピックのある19681月、「もうすっかり疲れ切ってしまって走れません」と書き残し、自ら命を絶った。

     円谷の自殺から9か月後、君原はメキシコの空の下を走っていた。以来50年が経つ今年も君原は、円谷を思いながらマラソンを走る。“永遠のライバル”に迫る感動の最終回となっている。

書籍検索
書籍名 著者名 詳細検索